雪が降りそうだと聞いてはいたが、まさかここまでドカ雪になろうとは考えもしなかった。会場にも早朝から降りしきる雪が積もり始めている。それよりも、会場には人っ子ひとりいないではないか。みんなこの悪天候に嫌気がさして不参加を決めたのか。
と、思ったらいました。体育館の中に。それも6千人。通路にも人があふれ、一人分の荷物を置く場所すら見あたらない状態。それでもなんとかトイレの入り口付近に雑誌の表紙大の陣地を確保し、受付で受け取ったゼッケンをシャツに付ける。
さて、ひざの痛みは?・・・いくぶんひいたような気がする。いや、痛くない。奇跡的に治ったのだ! いける。走れる。 開会式が終わり、レース30分前。その時点ではもう走ることしか考えていなかった。
スタートまで10分を切った。独特の高揚感がカラダ全体を包む。自己ベスト更新だ! そのときふと、脚全体をテーピングでぐるぐる巻きにしたおじさんが目に入った。「そこまでして走らなくても・・・」と思った瞬間、とつぜん冷静な自分が戻ってきた。朝から今まで気づかなかったが、私は右足を引きずって歩いていたのだ。
スタート1分前、選手の行列から離脱。出走中止。そのとたん、右ひざに昨日までの強い痛みがよみがえってきた。今から思うに、走らないうちから「ランナーズ・ハイ」のような状態に陥っており、脳内にはアドレナリンが噴出していたのだろう。興奮状態のまま判断力を見失っていたように思う。
もしも平静さを取り戻すことなく強行出場していれば、1月、2月に参加予定の全レースを棒に振っていたに違いない。いや、もっと最悪なことになっていた可能性もある。冷静に考えれば、ゆっくり歩くだけでもズキズキと痛む状態でレースなど走れるわけがないのだ。いま振り返ると恐ろしくさえ感じる。
テーピングぐるぐるおじさんに感謝だ。 不参加と決まればもう未練も何もない。道路が凍結しないうちにとっとと帰ることにしよう。それにしてもものすごい雪。まさに猛吹雪だ。出場を取りやめてよかった。・・・と自分に言い聞かせる。
次回のレースは「第23回 北なごや新春チャレンジマラソン」。2週間あるので、それまでになんとか右ひざを治して2007年初レースとしたい。