60歳以上の男性ランナーは50歳未満と比べて心停止発生率が6倍!

慶應義塾大学スポーツ医学研究センターの調査によると、2011年4月〜2019年3月に実施された日本陸連公認コースマラソン大会(516大会・のべ410万人参加)において、心停止事例が69例にのぼったことがわかりました。

69例のうち男性が66例と、圧倒的に男性ランナーのリスクが高い結果に。男女の参加人数の違いがあるとはいえ、男性ランナーにとって他人事とは思えません。

さらに研究のポイントとして、「60歳以上の男性は50歳未満の男性と比べてマラソン中の心停止発生率が約6倍」に跳ね上がることも判明。

一般的に年を取るにつれてペースは遅くなるため、心停止のようなリスクは40〜50代と相対的にあまり変わらないと思っていましたが、それは誤りのようです。

マラソンで「無理は禁物」は全ての選手に当てはまる鉄則。60代以上の男性選手はさらに、「心停止発生率が約6倍」とつねに言い聞かせつつレースにのぞむのが肝要かもしれません。

研究では「女性では年齢が上がるにつれて心停止発生率が増加する傾向は認められませんでした」とも。男性は女性と異なり、加齢に応じてマラソン中の心停止発生率が高まることが明らかになりました。

日本陸連では今回の研究を踏まえ、大会参加前のチェックリストに60歳以上の男性に対する注意喚起を行う文言を追加予定だそうです。

ちなみに冒頭の「心停止事例69例」について、現場の救急体制およびスタッフの適切な対応により、68例が救命されたことを付け加えておきます。

マラソン大会でゴール直前に意味のない猛ダッシュをかますのはだいたいおじさん。加齢には勝てないことを素直に認めることも、これからのランナー人生を健やかに送るうえで大切ではないでしょうか。