第41回「宮島クロスカントリー全国大会」を実走取材してきました。地元の老舗走友会「広島壮年走ろう会」が主催する手づくりロードレースで、世界遺産「厳島神社」が鎮座する“安芸の宮島”を走れる貴重な大会です。
完全な民間主催大会(自治体が主催・共催に絡まない)にもかかわらず、コースはすべて公道という異色の大会。廿日市市と宮島観光協会が後援に名を連ねているものの、企画・運営はすべて「広島壮年走ろう会」の皆さんです。
いわゆる“手づくり大会”ながら、その歴史はなんと41年!例年多くの参加者を集め、もはや秋(安芸)の宮島の風物詩となっています。 今年のエントリー数は定員を上回る約2700名。広島県内の参加者が多い中、「全国大会」と銘打っているだけあり28都道府県から市民ランナーが集まりました。
ナゴヤエリアでは愛知県から9人が参加。残念ながら岐阜、三重からの参加者はゼロでした。 年齢別では80歳以上が16名とご高齢の参加者が多いものの、会場を見渡す限り通常のマラソン大会の年齢構成と変わらない印象でした。
ただ、運営する側の広島壮年走ろう会は、会長の柴田さんいわく「高齢化しています」とのこと。たしかにスタッフの皆さんはおじいさ・・・いや、元気なアクティブシニアばかり。 それが逆に、この大会でしか醸し出せない会場全体のあたたかな雰囲気につながっているような気がしました。
「話題性」に頼る“集客イベント”と化したランニング大会もどきが多い昨今。大会を通じて地域にラン文化を根付かせている宮島クロスカントリーのような正統派大会は、もっと評価されるべきだと感じました。 もっとも、41年もの長きにわたって支持され続けているわけですから、地元ランナーの皆さんには「お前にいわれなくても、我々はちゃんとわかってるよ」と怒られそうですね。
敢えて言いますが、正直、41年も続けていればメンバーの中には天寿を全うされた方も少なくないはず。仲間の遺志を引き継いで地道に大会運営を続けてこられたのだと思うと、なんだか感動すらおぼえます。 最近、続々と登場する新興大会に、果たして10年後、20年後、40年後まで続けたいという気概を持った大会はあるでしょうか。
さて、宮島クロスカントリーの会場である宮島には当然フェリーで渡るわけですが、さすが世界遺産だけあって一般の観光客もたくさん。コース自体が観光地なので、マラソン遠征に非日常性を求める旅ラン派にはぴったりでしょう。
会場にはもみじまんじゅう試食コーナーやお抹茶席も。ゴール後は特製のカキ汁が無料でいただけます。人数制限はありますが、島内の老舗旅館で入浴も可能。
マラソン大会に「原風景」があるならば、宮島クロスカントリーはまさにその言葉がぴったりの大会。大規模都市型マラソンや集客イベント色の強いブーム便乗大会に食傷気味な、原点回帰したい市民ランナーの皆さんにオススメです。 ※明日はvol.2<レース篇>をお届けします。