全国から1万6千人ものエントリーを集めた第1回奈良マラソン。平城遷都1300年記念イベントの大トリを飾るビッグ・レースの会場は、期待と興奮が入り混じる独特の熱気に包まれていました。
近鉄奈良駅からメイン会場の鴻ノ池陸上競技場までは歩いていくこともできますが、当日はできるかぎり脚の筋肉を温存しておきたかったためバスを利用。 スタート2時間前に会場入りしたものの、トイレやら荷物預けやらであっという間に選手招集時間がやってきました。スターティングブロックは申告タイム順にアルファベットで分けられます。私が指定されたブロックは「B」。
ブロックごとに「ゲート」が設けられ、スタッフが選手一人ひとりのナンバーカードをチェック。エリア自体もフェンスで囲まれ、他エリアの選手が紛れ込まないよう厳重な管理体制が敷かれていました。 やがて高橋Qちゃんやせんとくんたちによるスタートセレモニーが。そして9時ジャスト、ついに記念すべき第1回奈良マラソンの号砲が打ち鳴らされました。
スタート直後は雄叫びをあげる人、拳を振り上げる人、感極まってウルウルしている人などが入り乱れてお祭り状態に。スタート台のQちゃんを見つけるとその熱気は最高潮に達し、「うおぉぉおおお〜」という地鳴りのような歓声が沸き上がりました。
スタート地点までのロスは40秒。しっかり時計を確認できましたので、冷静さは保っていたようです。すぐに競技場の敷地を出て、まずは南北の道を一気に駆け下ります。ただでさえ興奮状態のうえに急な下り坂。みんな重力に任せてぶんぶん飛ばしまくりです。
国道369号に出るとまずは西へ。奈良市中心部のメイン道路だけあり、幅が広くて走りやすかったです。ギャラリーも多く、思わずペースが上がってしまいました。
朱雀門付近で折り返し、今度は369号を東進。東大寺や春日大社方面へと向かいます。だんだん対向する選手が増えてきて、その数に圧倒されました。
近鉄奈良駅前、奈良公園、東大寺付近を駆け抜けたときの気持ちよさはまさに格別でした。この大通りを走れるだけでも参加した価値があるといえるでしょう。
春日大社の鎮守の森が眼前に迫ったところでコースは南へ。やや道幅が狭くなりましたが、このときにはすでに選手もバラけていましたので走りにくいということはありませんでした。
16km地点ぐらいで東へ折れ、山あいの道へと入っていきました。ついに難所へと突入です。地味〜に繰り返すアップダウンが容赦なく体力を奪っていきました。しかしこの時点で3時間15分ぐらいのフィニッシュペース。
明らかにオーバーペースであることはわかっていましたが、脳内に噴出するアドレナリンがペースダウンを許してくれませんでした。 たしかにアップダウンはキツかったものの、折り返し地点の天理高校まではまったく脚にきておらず、ペースも順調そのもの。そして折り返した直後にQちゃん発見!
しっかり写真に収め、ハイタッチもゲット!Qちゃんのおかげでいい気分のまま後半戦へと向かうことができました。
25km過ぎぐらいでハムストリングスに軽い違和感が出てきましたが、自分で気づかないふりをしつつ4分30〜40秒ペースを維持。対向する選手ウォッチングを楽しみながら、だましだまし走り続けました。
で、30km地点。やはり今回もきました!突然の大崩れ。しかし、ここからパワーになったのが沿道の方々の声援です。じつは今回、「名前入りナンバーカード」(500円)なるものを申し込みました。
この「名古屋RJ」と入ったナンバーカードを受け取ったとき、本気で通常のカードに取り替えてもらうことを考えました。恥ずかしいから。でも、結果的に「名前入りナンバーカードにして良かった!」と心から思いました。
なぜなら、名前入りカードを付けていると、沿道の方々から名指しで応援してもらえるからです。私の場合は「名古屋がんばれ〜」と、多くの方に声援をいただきました。見知らぬばあちゃんから「ジェイアールの兄ちゃんがんばれ〜」と言われたときはガクッときましたが、うれしかったです。
対向する選手の中に、「ランニングジャーナル〜!」とか「いつも見てるよ〜!」なんて叫んでくださった方が3人もいました。たいへんありがたいことです。この場を借りて御礼申し上げます。
長野マラソンやいびがわマラソンも同じく声援が多い大会ですが、今回の奈良マラソンほど「声援のチカラ」を実感したレースはありません。名前入りナンバーカードは他の大会もぜひ採用するべきだと思います。
さて、レースはその後かろうじて4分台後半〜5分台前半をキープしていたのですが、35〜38kmのラップがいずれも6分台に。このままずるずるといっちゃうのかなと時計を確かめたところ、自己ベスト更新の可能性が残されていました。
それも残り4kmを5分台で走ればギリギリ3時間25分を切れる可能性のあることが判明。 折れかかった心を「PB更新&25分切り」というモチベーションで立て直し、フィニッシュ直前の地獄坂を登り切って競技場へ。この時点で25分切りはギリギリ。
完全にトラック勝負です。残り100mで目の前のタイム表示は3時間24分40秒。全神経を両脚に集中させ、心の中で猛ダッシュ敢行。 しかしあと一歩遅かった!フィニッシュタイムは3時間25分10秒。100mを30秒もかかるとは、どんだけ脚が終わっていたかがよくわかります。
ただしネットタイムでは3時間24分30秒をマークして25分切りをクリア。当然、こちらを正式タイムにしたいと思います。
フィニッシュ後はフィニッシャータオルと完走メダルをダブルでいただきました。着替えを済ませて競技場のスタンドへ移動し、知り合いのフィニッシュを見届けようとしたんですが、今まで経験したことがないほどの疲労を感じたため早々に会場を後にしました。
平城遷都1300年を祝う第1回大会で自己ベストをマーク。私にとっても記念のレースとなりました。選手の皆さん、ボランティアの皆さん、たいへんお疲れさまでした。