「平城遷都1300年記念 奈良マラソン2010」を体験取材してきました。
もともと奈良市では「奈良春日・大仏マラソン」として10kmロードレースが行われていましたが、フルマラソンは初開催。まさに、これから全国に広がっていくであろう地方都市での「大規模市民フルマラソン」の試金石といっても過言ではありません。果たして成功を収めることができたのでしょうか!?
奈良マラソンは「第1回」ということもあり、いったいどのような大会になるのか、エントリーしたその日から開催を心待ちにしていました。レースの様子は明日お届けするとして、今回はvol.1<素晴らしい大会の誕生>編と題し、おもに運営面や大会自体の特色・魅力について振り返ってみたいと思います。
あ、先にレース結果だけいいますと、おかげさまで2シーズンぶりに自己ベストを更新(3時間24分30秒)することができました!東京マラソンでの20分切りに大きな弾みとなりました。詳細は明日のvol.2にて。
■マラソンエキスポは予想外に大規模で楽しかった!
奈良マラソン(フル)は「前日受付」のみとなるため、土曜日の朝に近鉄で奈良入り。ホテルに荷物を預け、さっそく鴻ノ池陸上競技場の受付会場へ。マラソンエキスポが開催されるとは聞いていましたが、それほど期待はしていませんでした。ところが実際に訪れてみると、想像以上のにぎやかさにびっくり。
規模は長野マラソンエキスポ(前日開催のほう)の3倍ぐらいでしょうか。食べ物を中心にさまざまなブースが軒を連ね、ステージではオープニングセレモニーが華やかに行われていました。お世話になっている知人にも会うことができ、楽しいひとときを過ごしました。
■血が通ったホスピタリティあふれる大会。
実際に走ってみて感じたのは、奈良マラソンは見事に「地域と一体」となって盛り上げに成功した、ホスピタリティあふれる大会であるということ。これは簡単そうにみえて非常に難しく、運営主体に「情熱」がないととても実現できません。
運営主体の「思い」がボランティアへ、そして地域へと伝わった好例といえるのではないでしょうか。マラソンブームの影響で「黙っていても人が集まる」昨今、ともすれば“お役所仕事”的な大会がはびこるなか、第1回でありながらよくぞここまで仕上げたもんだと感服しました。
■高校生を中心としたボランティアの情熱に脱帽。
なによりも、高校生を中心としたボランティアの方々のがんばりは特筆すべきだと思います。「大会を成功させたい」「ランナーを温かく迎えたい」。一人ひとりから、そんな思いがひしひしと伝わってきました。
驚いたのは沿道のギャラリーがほとんど途切れなかったこと。寒空のなか、力一杯の声援を送っていただきました。ある意味、日本でも有数の“騒がしい”レースかもしれません。 とにかく声援がすごいんです。長野やいびがわも声援の多い大会として有名ですが、それをしのぐ力強い応援にかなり後押しされたことは紛れもない事実です。
一方で、そんな声援から耳を閉ざし(耳にイヤホン)て走っている選手も少なからず見かけました。「声援のチカラ」を放棄するとは、なんてもったいないことをするんでしょうか(音楽より声援のほうが数百倍チカラになります)。
6時間もの交通規制でただでさえ迷惑をかけている、そんな地元の方々の懸命な声援を「無視」する行為・・・失礼だと思いませんか。
■都市型ロードにしては厳しいコースという印象。
奈良マラソンのコースは、鴻ノ池陸上競技場を発着点に都心部および郊外を駆け抜ける準都市型ルート。とくに奈良市中心部のメイン道路を走らせていただけるのはうれしいかぎり。 実際にはアップダウンが激しくキツいコースでした。
ハムストリングスだけでなく、大腿四頭筋も筋肉痛になったことが起伏の激しさを物語っています。 ただし、「ロードレースにしては厳しい」というレベルの起伏であり、たとえばやぶはら高原ハーフのように山あいで行われる「山岳ロード」のようなえげつなさはありません。体感的にはいびがわマラソンの1.3倍ぐらいのキツさ、といえばわかる方にはわかるかも。
■単なるイベントではない「スポーツ競技会」としても○。
いくらイベントとして楽しさを追求しても、肝心のレース運営がおろそかでは本末転倒です。そういった意味で奈良マラソンは、この「競技性」にも重きを置いた挑戦しがいのあるレースだと感じました。 「距離表示が見にくい」「10kとフルの部の分岐誘導が声だけ」など、細かな改善希望点はいくつかあるものの、おおむね良好な競技運営だったと思いますがいかがでしょうか。
これから全国に波及するであろう都市型市民フルマラソンには、くれぐれも目先の目新しさに惑わされることなく、「市民マラソンとは何か?」という基本に立ち返って大会を企画・運営されることを願ってやみません。