脚がはずれる!? 6日間ひたすら走り続ける異次元の大会。
ひとくちにランニング競技といっても、マラソン、ハーフマラソン、10kmレースといった定番競技から、リレー、ロゲイニング、ファンランイベントなどじつに様々。中でも制限時間内に走った距離を競う「時間走」もまた人気の種目。3時間走、6時間走などに出場した経験をお持ちの方も多いと思います。では、144時間走はいかがでしょうか?
「は?」という声が聞こえてきそうですが、144時間、つまり6日間走り続ける世界大会があります。その名も「EMU 6DAY RACE」。毎年ハンガリーで開催され、世界から筋金入りのヘン◯イ・・・いや、超長距離ランナーが集います。
2017年大会は先週行われたばかり。日本からは男女1名ずつ参戦。そのうちの1人が愛知県在住、“世界のす-。さん”こと稲垣寿美恵選手です。ナゴヤエリアの市民ランナーならおそらく知らない人はいない(?)有名人。
Photo:Edoichicoach Takatsu
その主な戦績をさらっとご紹介しますと・・・フィンランド24時間走6連覇、さくら道国際ネイチャーラン女子1位、バッドウォーター・ウルトラマラソン2連覇、スパルタスロン女子1位、スルジェール48時間走優勝(世界記録)などなど・・・。
ウルトラランナーの枠に収まらない、超ウルトラランナーともいうべき存在なのです。今回の6DAY RACEは3回目の参戦で、過去2戦に比べて足のアクシデントにより苦しい戦いになったとのこと。
Photo:Edoichicoach Takatsu
そもそも6日間走り続けるとはいったいどのようなことなのか、競技中の睡眠や食事はどうしているのかなど、いろいろと興味が尽きません。そこで、帰国間もない稲垣選手本人に質問してみました。
●競技中の睡眠はどれぐらいの頻度でどれぐらいとるのでしょうか?
ーーーーーー(過去出場した)1回目(2015)、2回目(2016)、今回とも24時間終わるまでは寝ていません。1回目は、「昼間の暑い時間に寝よう作戦」だったのですが、昼間寝ても夜眠くなるんですよね。なので、2回目と今回は、「夜ねむくなったら寝よう作戦」にしました。5分、10分、30分と、その時の状況に合わせ仮眠。駄目だ~~~気持ち悪~とか、いくら寝ても眠い、土砂降りなんて時は1時間~2時間寝ていたと思います。今回は、脚がはずれた~〜と言うわけで、動けなかったのでマッサージなど色々受けながら数時間寝ました。
●過去2戦と今回の成績を教えてください。
ーーーーーー
■2015年 706.601km(女子2位)
この時のアジア記録のようです。
■2016年 713.530km(女子2位)
前回の自分の記録を超えました。
■2017年 612.159km(女子5位)
●「脚がはずれた〜〜〜」とは、どのような状態なのでしょうか・・・
ーーーーーーいつもの事です。最近、脚がよくズレるというかなんというか???謎なんです。24時間くらいたてばなんとかなるんですけど。シューズを脱ぐとやばいことが多々あるんです。そうなると1歩も動けなくなることも・・・。
Photo:Edoichicoach Takatsu
●競技中、棄権しようとは思われなかったのでしょうか?
ーーーーーー時間走に棄権ってのはないかと。その時間内コース上にいて動いていれば距離は伸びるのです。意識がなくなったりすればそれは、別ですが。。。
Photo:Edoichicoach Takatsu
●6日間の「主食」はなんですか?
ーーーーーーエイドで毎食いろいろ出てくるので食べれる物を食べています。毎回「これ~っ」というマイブームの品を持参しますが、結局違うものが食べたくなるんですよね。今回は、やおきんの焼き芋ようかん!たくさん持って行きました。ハッピーターンとミレービスケットも。食べられなくなった時は、いつも飴です。金のミルク、春日井の塩飴など。コーンポタージュ、パンプキンポタージュスープ、メダリストジェル、アミノダイレクト、ファストウォーターは必ず持参します。
●正直、飽きたな・・・と思っちゃった瞬間ありますよね?
ーーーーーーそれが・・・無いんです。6日間って心構えで出かけているので6日間を楽しむ・・・これがメインです。
●来月の高山ウルトラや白山白川郷ウルトラがウルトラマラソンデビューというナゴヤのランナーは少なくありません。そんな初ウルトラを控えた選手の皆さんにアドバイスをお願いします。
ーーーーーー3月末に名古屋で開催された飛騨高山ウルトラマラソンクリニックを担当しました。当日私も走ります。大会前日も昨年同様 登壇しておしゃべりする予定です。アドバイス~~~???!!(^^;
「100㎞走るなら、100km走っとけ~!坂道走るのなら、坂道走っとけ~!」でしょうか。楽しいエイドもたくさんあります。
・・・・なるほど。ウルトラマラソンを控えている皆さん、これ以上のアドバイスはありませんね。走ると決めたら走るしかない。いまさらアレコレ考えたって仕方がない。「100㎞走るなら、100km走っとけ~!坂道走るのなら、坂道走っとけ~」の精神ですよ!
ちなみにもう1人の日本人選手、佐々木朋幸選手は802.814㎞を走って総合6位。優勝はスウェーデンのJohan STEENE選手で距離は870.284kmでした。 ※競技中の写真はEdoichicoach Takatsuさんにお借りしました。
Photo:Edoichicoach Takatsu
■らんらんす-。のマラソンねた入り日記(稲垣選手のブログ。お菓子中心)