「走る」行為は同じなのに、私たちは無意識のうちに「ランニング」と「ジョギング」という言葉を使い分けています。これまでさまざまな専門家がその違いを解説してきましたが、おおむね「(自身の感覚として)やや速め以上に走る=ランニング」、「(自身の感覚として)ゆっくり走る=ジョギング」という見解が一般的ではないでしょうか。
イギリスのスポーツケア用品メーカーAMMFitnessの創設者Adnan Munye氏は、「ランニングとジョギングは多くの類似点があるが、それと同じくらい多くの違いもある」と述べています。最大の違いは体の動き。とくにストライドの長さと腕の動きに違いが見られるとのこと。
「ランニングはジョギングよりも動きがダイナミックなぶん、心拍数、エネルギー代謝、身体的負荷をより高める」と語るのはVivio Life Sciences社のDavid Barbour氏。
ジョギングは「ペースが速いウォーキングに匹敵」し、それほど激しい運動ではないため、ランニングに比べて「長く持続可能」なのがメリットであるとも。
では「ランナー」と「ジョガー」はどこが違うのでしょうか?これについては「ゆっくり走る=ジョガー」とは言い切れない面があります。
前提として、「ランニングは、距離やペースを想定した具体的な計画のもとに、特定の目標に焦点を当てた“走り”」であり、「ジョギングは、具体的な目標や意図はなく、よりカジュアルな“走り”」であるといえます。
とすると、レースに向けたトレーニングの一環でLSD(ゆっくり長く走る)をしている人はランナーなのかジョガーなのかといったら、それはランナーと呼ぶのが適切でしょう。
さらにいえば、一生懸命トレーニングに励み、遅いなりにマラソン6時間切りをめざしている人も、見かけはジョギングでも「ランナー」と呼ぶべきではないかと思うのです。
余談ですが、NAHAマラソンのキャッチコピーは「太陽と海とジョガーの祭典」。あえて「ジョガー」という言葉を入れて「楽しもうよ!」というメッセージを伝えています。
結論。ペースが速いとか遅いとか、心拍数がどうのとか関係なし。走っている本人が「ランニングだと思えばラン!ジョギングだと思えばジョグ!」・・・で、いいのではないでしょうか。