売木村専属ランナー 重見高好トークショーvol.2<ランニングクリニック>篇。

vol.1<崖を這い上がってきた男>篇よりつづく。 2013サロマ湖100km準優勝、白山・白川郷100km優勝など、トップクラスの実力を証明した重見高好選手(売木村)。経験がものを言うウルトラマラソン界にあって、まさに彗星のごとく現れた才能といえるでしょうか。 001DSCN3428.JPG そんな重見選手の“ウルトラマン”としての真価が試されたレース、それが11月9〜10日にわたって行われた「神宮外苑24時間チャレンジ」です。 重見選手いわく「100kmマラソンと24時間走はまったく別の競技」。それだけに24時間走で実績を上げれば、超長距離選手としてのフィールドと可能性はさらに広がります。 24時間走は初挑戦ということで、重見選手本人も結果はまったく予想がつかなかったでしょう。しかしノッてる男は違います。結局、国内大会における最高記録を10km以上も更新し、2013年の世界ランキング2位となる好成績(269.225km)であっさり優勝してしまいました。 応援に駆けつけていた売木村村長への第一声が「村長、いいアピールになりましたね」だったそう。これに対して村長は「思わず胸が熱くなり」泣けてきたとした上で、「本当に重いものを背負わせていること、体を酷使させていることに申し訳なく思った」と感想を述べています。 ※売木村「村長だより」からのエピソード Copyright_urugimura.jpg Photo:Copyright Urugi Village All Rights Reserved. 24時間走 世界ランキング2位(2013年)の選手だけに「普段いったいどれだけの距離を走っているんだろう」と、村長ならずとも心配になるとともに、ランナーの立場からもぜひ訊きたいところ。 実際、重見選手の走行距離は「月間1000km」ほどだそうです。市民ランナーから見れば途方もない距離ですが、ほぼ実業団選手並み。「5000km」とかサラッといわれたらどうしようと身構えていましたが、なんだか妙に安心しました。 しかも「24時間走に向けて特別な練習はしなかった」そうで、練習における最長走行時間はわずか「5時間」。24時間走を控えて最長5時間走しかしないというのは、かなりのオドロキでした。 重見選手いわく「ふだん行っている100kmマラソン用の練習メニューで、どこまで24時間走に通用するか試したかった」のだそうです。 そこには「ラクな練習で結果が出せればそれに越したことはない」、つまり練習で走る距離を抑えることができれば、故障予防にもつながるという重見選手なりの考えがありました。 練習メニューも、ただ闇雲に走っているわけではなく「メリハリが大切」と重見選手。ハードなスピード練習も週に1〜2回行うとのこと。単独練習ばかりだと独りよがりになってしまうため、近隣チームの練習会に出向くこともあるとか。 さて、トークショー当日はランニングセミナーも兼ねていたため、重見選手自ら身振り手振りをまじえてウルトラマラソンの攻略法を解説。 DSCN3448.JPG 中でもレース中、意識しているのが「脇を締める」こと。手の平をやや上向きにして腕振りを行うことで、自然と脇が締まるそうです。これはe3理論とまったく同じ。手の平を上に向けると手首→肩関節→横隔膜と連動し、胸(肺)が開くためより多くの酸素を取り込めます。 ほかにも、「下り坂でペースアップしてタイムを稼ぐのはよくない」ことや、「急な上りは無理して走らなくてもよい」ことなど、経験に基づいたさまざまなアドバイスを聞かせてくれました。 最後に、ウルトラマラソン未経験の方へのメッセージとして「ドMの方なら大丈夫」という言葉を残し、ステージを後にした重見選手。今後の活躍から目が離せません。 DSCN3453.JPG 走る村プロジェクトを展開中の「売木村」については明日の<vol.3>にてお伝えします。 ※なお、「神宮外苑24時間チャレンジ」の模様はNHK「明日はどっちだ」(第2部)で放送予定です。