万博回顧3 ~冷凍マンモス~

居酒屋で誰もが「とりあえずビール」と言ってしまうように、

万博では誰もが「とりあえずマンモス」を見ることになる。

というぐらい、いつのまにか愛知万博

シンボル的存在になっていた「冷凍マンモス」。

大阪万博でいうところの「月の石」か。

しかし、「とりあえず見ておく」には、

そのハードルはかなり高かった。

とくに開幕当初は整理券の配り方にも問題があり、

人気企業館を上回るダントツの待ち時間だった。

それでもみんな、とにかく見ておかなきゃと、

何かに取り憑かれたかのように、長蛇の列へと加わるのだった。

その後、整理券の配り方や入場方法のカイゼンにより、

待ち時間は大幅に緩和された。

この冷凍マンモス、万博が終わって

ロシアのサハ共和国に帰ったのはいいが、すぐにフジテレビが

イベントの目玉として展示するため日本に呼び寄せた。

さらに今年の春から初夏にかけて、

愛知県豊橋市の動物園にも展示された。

で、やっと故郷に帰ったかというとまだまだ帰しませんよ!

現在はまた東京・お台場に戻り、

日本科学未来館」というところに出演中。

酷暑の夏に日本中を引き回され、腐らないか心配だ。

愛知万博の「主役」「象徴」といってもいい冷凍マンモスが、

落ち目の外タレみたいにこうも軽々しく行ったり来たりしていいのか。

たとえばイタリア館では「踊るサテュロス」という

国宝級のブロンズ像を展示していた。

愛知万博への出展が最初で最後の国外展示だったそうだ。

“最初で最後”、つまり「もう二度と見られないんだ」と

感慨にふけりながら見るから感動も倍加されるのだ。

もしも冷凍マンモスが、万博閉幕から1年も経っていないのに

こうも日本へ来まくることがわかっていたら、

あそこまで行列ができただろうか。あそこまで感動できただろうか。

たしかに冷凍マンモスは興味深かった。

何千年も前の姿そのまんまで残っているのだ。もちろん本物だ。

小さな女の子が冷凍マンモスを見て、

「肉ぅ~~~~!肉だよ肉ぅ~~」と叫んでいたのを思い出す。

そう。骨格標本ではなく、肉や毛がしっかり残っている

“そのまんまの姿”であることに価値があるのだ。

だからこそ、なんだか冷凍マンモスがどんどん大衆化していくようで寂しい。

それはたとえば、往年のアイドルが

スーパーのイベントに現れたときに感じる侘びしさにも似ている。

今はただ、冷凍マンモスより「出ずっぱり」のモリゾーとキッコロが、

世間から飽きられないことを願うばかりだ。

大人気、いや、中人気ぐらいだったマンモスキャラの「マモタン

(作者は女優の坂井真紀)↓

mamotan.JPG

熱に浮かれて衝動買いしてしまった

マンモスの骨と証明書、3,000円。↓

mammoth.jpg