18日に行われた第115回ボストンマラソン。男子ではジョフリー・ムタイが現世界記録を1分近くも上回るタイムで優勝。しかしながら、国際陸連公認コースではなかったため公式記録として認められず・・・。幻の“世界記録”になってしまいました。
驚異的なタイムにはもちろん驚きましたが、伝統あるボストンマラソンが実は「非公認」だったということに軽いショックを受けました。では、公認コースの条件とはいったいどのようなものなのでしょうか。
国際陸連が定める公認コースの条件は以下のとおり。 (Wikipediaより転載)
1.コースの長さは競技距離より短くてはならず、かつ誤差は競技距離の1000分の1以下 (マラソンでは 42m 以下)
2.上記の条件を満たすべく、距離の測定にあたっては 1001m をもって1000m=1kmとする 3.スタート地点からゴール地点までの標高の減少は競技距離の1000分の1以下(マラソンでは 42m 以下)
4.スタート地点とゴール地点との距離は、直線で競技距離の2分の1以下
・・・なんだかよくわからない項目もありますが、そういうことです。ボストンマラソンの場合、スタートとゴールの直線距離が21.0975kmを大きく上回っていたため公認コースの条件を満たしていないんだとか。
ニューヨーク、シカゴ、ロンドン、ベルリンと並びファイブメジャーズに名を連ねるボストンマラソン。なにか崇高な理念に基づき、コースを変更せずに「非公認」を貫いているのでしょうか。
それにしては、ボストンマラソン側がムタイの“世界記録”を公認するよう世界陸連に働きかけているとかいないとかいう話も。まず認められることはないと思いますがこれいかに。
もうひとつ驚いたのが、「非公認コースでも日本の公式な選考レースになる」んだということ。選考レースといえば・・・来年3月に行われる「ナゴヤウイメンズマラソン」が当初、「男女一斉スタートだと選考レースとして成立しない。だから女子のみ」というような趣旨の説明がなされました。
しかし、名古屋国際女子マラソンが中止となった後、日本陸連が代替レースに指定したのは(結局中止となった長野も含めて)すべて男女一斉スタート・・・。緊急措置に近いとはいえ、「なんだ、普通にできるんじゃん」と拍子抜けしました。
※4/21追記:博美選手直々に教えていただいたところ、「ボストンマラソンは、エリート女子選手のみ28分前に先行スタート」とのことです(ロンドンマラソンは45分前)。全員「一斉」ではありませんでした。失礼しました<(_ _)>
それはさておき、今回のボストンも世界陸上女子マラソンの代表選考レースに指定されていました。先日お知らせしたとおり、大南博美選手も故障を押して出場。本人いわく「ゴールするのに精一杯」だったそう。
今回は「青梅マラソンからの派遣選手」ということで、選考レースに臨むというより「青梅とボストンの橋渡し」的な役割が強かったのでしょう。だからこそ、激痛に耐えてゴールまで走りきったのは大きな意味があると思います。きずなを結ぶゴールですから。