旅ラン日本 vol3【片山津温泉】

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片山津温泉といえば数ある温泉郷の中でも“ビッグネーム”のひとつといえるだろう。さぞかし観光客で賑わっているかとおもいきや、それらしい人影はおろか地元の人の姿すらまばらで閑散としていた。

平日ということもあるだろうが、寂しいかぎりである。それでも町のそこかしこに風情あふれる雰囲気がかいま見られるところは、さすが歴史ある温泉郷といったところか。夏休み期間には毎日、花火が打ち上げられるというし、夏の旅行先には以外と穴場的な存在かもしれない。

 

さて、そんな片山津温泉には、意外にもランナーにとってうれしいジョギングコース(サイクリングコース)が用意されている。美しい「柴山潟」の湖畔を1周するコースだ。信号待ちや交通事故の心配がないのもうれしい。全長7キロ。軽く流すには最適な距離だ。

 

途中、湖面にぽっかりと浮かぶ「浮御堂」に立ち寄る。

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浮御堂への参拝を終えジョギングコースに戻ろうとすると、何やら背後で「シュワーッ」と音がする。振り返ると、ちょうど柴山潟の大噴水ライトアップが始まったところだった。まだ周囲が明るかったのがちょっと残念。柴山潟には屋形船も出ているというが、当日は一艘も見かけなかった。

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7キロのコースはあっという間だったが、きれいに整備されているうえに景観もすばらしく、気持ちよくジョギングを楽しめた。地元の小学生がすれ違うたびに「こんにちは!」とあいさつしてくれることに最初はとまどってしまったが、3人、4人とあいさつをかわすうち、片山津という町自体の「もてなし」の気持ちが伝わってきた。

 

「お客さまを大切にしよう」という意識がしっかりと根付いているのだろう。「温泉」という資源や美しい町並み、そして何より素朴なホスピタリティをこの町は持っているのだから、きっと昔のにぎやかさを取り戻せるはず。そんな気がした。