『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『燃えよ剣』など、数々の歴史小説を世に送り出してきた司馬遼太郎。
氏の功績を後世に残すため、2001年に開設された「司馬遼太郎記念館」におじゃましてきました。
「司馬遼太郎記念館」は、東大阪市の閑静な住宅街にたたずんでいます。近鉄奈良線「八戸ノ里」駅から歩いて5〜6分。記念館は民間（公益財団法人 司馬遼太郎記念財団）の運営ですが、町のあちこちに案内表示を見かけました。地域の貴重な文化・観光資源として盛り上げたい思いが伝わってきます。
入り口はこんな感じ。町に溶け込んでおり、落ち着いた雰囲気。受付の方が全体の説明をしてくれます。
いちおう庭園になっているのですが、いわゆる日本庭園ではありません。どうやら司馬遼太郎は雑木林が好きだったそうで、言われてみれば子どもの頃どこにでもあった雑木林が再現してあるといえなくもありません。
“雑木林”を進んでいくと、まず目につくのが立派な日本家屋。こちらは司馬氏の自宅で、残念ながら中に入ることはできません。
そのかわり、氏が生前過ごしていた書斎やサンルームが窓越しに公開されています。雑木林風の庭を眺めながら執筆していたといいます。
この自宅に隣接する地に建てられたのが「司馬遼太郎記念館」で、安藤忠雄氏による設計。
ゆるやかな曲線のアプローチを歩いた先に入り口があります。
残念ながら館内は撮影禁止。写真はありませんので館内の様子は公式Webサイトをご覧ください。
www.shibazaidan.or.jp www.shibazaidan.or.jp
圧巻だったのは高さ11メートルの大書架。氏の蔵書は約6万冊にのぼったといわれており、その蔵書世界をイメージしているそうです。
氏が生前愛用していたペンやメガネなども展示されていますが、数は多くありません。どちらかというとこの記念館は、公式Webサイトでも謳われているように「「見る」、というより「感じる」「考える」記念館」という位置づけで、「司馬遼太郎の精神を感じる」ための空間なのです。
見る要素が少ないため、司馬作品に触れていない人は正直つまらないかもしれません。館内にはほかにも、シアター（15分の作品を2本、30分間隔で上映）やカフェがあります。
ちなみに司馬遼太郎の命日を「菜の花忌」（2月12日）といいます。当日はその名残でしょうか、菜の花がいたるところで咲き誇っていました。
かねてより訪れたいと思いつつ、やっと念願が叶った今回の訪問。司馬遼太郎ファンで未訪問の方は、ぜひお出かけされることをおすすめします。
