やや“物語性”に欠ける印象…映画『燃えよ剣』を観てきました。

f:id:run-off:20211019185554p:plain 映画『燃えよ剣』を観てきました。本来は昨年5月に公開される予定でしたが、新型コロナの影響で延期に。先週10月15日にようやく公開となりました。

原作は司馬遼太郎。新選組副長・土方歳三を主人公とした歴史エンターテインメント小説です。読んだのはかれこれ20年ほど前。細かなあらすじや描写はほとんど覚えていません。

1年以上の延期を経ての公開だけに期待値もマックスまで高まっていました。いや、高まりすぎていたかもしれません。

ひとことで言うなら映画『燃えよ剣』としての“物語性”が少し弱かったように感じました。

基本的に史実を追うため土方歳三の人生が骨子になるのは避けられないのですが、新選組結成、芹沢鴨暗殺、池田屋事件、山南敬介切腹、箱館戦争などの主要エピソードをポンポンポンっと並列に置き、つなげているだけのような印象を受けました。

つまり「物語」としての抑揚がなく、単調なイメージ。エピソードごとの描写や剣戟の迫力は申し分ありませんでしたが、もう少し映画『燃えよ剣』ならではの大胆なストーリー展開や心理描写があってもよかったかも。

小説にも登場する架空の人物「お雪」との一連のやり取り(心理描写も含めて)が浅かったため、ラストシーンで今ひとつ(私の中で)感動を呼びませんでした

芹沢鴨暗殺と被る伊東甲子太郎襲撃(油小路事件)は思い切ってカットして、お雪と函館で過ごした“夫婦”としての数日を描き、ラストシーンにつなげてもよかったのでは。他には、箱館での近代戦をもっと描写してほしかった。

俳優で印象に残ったのは主人公の岡田准一、山崎烝役の村本、芹沢鴨を演じた伊藤英明もよかった。近藤勇(鈴木亮平)は敢えて抑え気味だったのは致し方なしというところでしょうか。新選組の映画じゃなくて、土方歳三の映画なので。

結論としては、エピソードを並列につないだだけの印象で物語性に欠けた・・・これにつきます。今回は期待値が高すぎて辛口になりましたが、なんだかんだいってもう一度劇場で観たいです。

moeyoken-movie.com