「第20回記念 長野マラソン」を実走取材してきました。長野オリンピックの翌年、1999年に第一回が開催された「長野マラソン」(前身は信毎マラソン)。元祖市民マラソンの代表格として、20年にわたり市民ランナーの支持を集め続けてきました。その人気の秘密は、地域に浸透するおもてなし文化と「ブレない運営ポリシー」です。
よく「良い大会とそうでない大会の違いは?」という質問を受けますが、これはとても難しい質問です。なぜなら人それぞれ大会に求める要素が異なるため、具体的に「ここがいい」と言ったところでそれは好みの問題に過ぎないからです。
制限時間の長さを求める人、仮装を楽しみたい人、豪華なエイドを求める人・・・いろいろと大会選びのポイントはありますが、長野マラソンは少なくとも上記いずれにも該当しません。
給食エイドのテーブル数は多いもののそのメニューは最低限に絞られていますし、当然のように仮装も禁止(自粛要請)。今年はついにイヤフォンの装着を控えるよう積極的な呼びかけが行われました。
イヤホンランナーは応援者に「失礼」、耳から情報が入らず「危険」、そしてなによりもブラインドランナーの「脅威」となります。
このように、仮装したい、ゆっくり走りたい、イヤフォンしたい人にとって長野マラソンは窮屈に感じるかもしれません。しかし、こうした走り(競技)に集中できる環境が整えられているからこそ、参加を希望するランナーが殺到するのだと思います。
昨今の都市型マラソンとは一線を画す硬派な姿勢。5時間制限を堅持し、無節操な増員も行いません。先着順とすることで結果的に「心から長野を走りたい市民ランナーだけが集う」場となり、参加選手の一体感を生み出しています。
日本陸連主催大会としての硬派な競技性を保ちつつ、きめ細かなランナーサービスが充実した長野マラソン。20年目の区切りを迎えてもなお進化し続けていると感じました。