華やかな都市型マラソンの陰で鬱積するストレス。

ラソン大会に苦情はつきもの。それが参加者から主催者に対するものなら、ランニングを取り巻く世界の中の“内輪もめ”で済みます。しかし「地域住民から主催者に対する苦情」となると話は深刻。マラソン大会に出てのんきに「楽しかったねー」なんて言っている私たち市民ランナーの伺い知れないところで、大会と地域住民との軋轢は少なからず存在しています。 DSCN5417.JPGラソン大会の主催にからむ人たち何人かに話を伺ったことがありますが、「沿道(住民、企業)からの苦情は毎年必ずある」のだとか。傍目には地域と一体となっているように見える地方の大会でももちろん同じ。 大会側も事前に戸別訪問やポスティングなどで大会開催への理解を得るため奔走、努力しています。しかしそれでも苦情ゼロはあり得ません。 「沿道からの苦情」はマラソン大会の“暗部”ともいえる問題なので、あまり表に出したがらない大会がほとんど。 そんな中、神戸マラソンでは苦情の数と主な内容を公表。資料によると、第3回大会に寄せられた苦情は30件。主な内容は「交通規制」に対するものと、沿道企業・店舗からの「営業できない」というもの。 苦情「30件」はあくまでも何らかのカタチで主催者にコンタクトしてきた人たちによるもの。積極的に苦情を訴えないまでも、迷惑を被っていると感じつつ我慢している方々は相当数にのぼるのではないでしょうか。 実際、交通規制の最前線に立つボランティアやガードマンが嫌味を言われている、ときに汚い言葉で罵られている現場を何度も見かけたことがあります。 前々回のウィメンズマラソンでは、ボランティアの制止を聞かず、これ見よがしにコース脇の歩道を10メートルほど暴走のうえUターンして走り去ったクルマを見たことも。まあ、このような悪質ドライバーは問題外として。 ラソン大会は「多少の不自由は目をつむって協力しよう」という地域住民の「消極的な善意」により成りたっていることを忘れるべきではないでしょう。 沿道の「応援」にしても、立場がかわればその受け止め方は大きく異なります。鳴り物で賑やかに応援を繰り広げるそのすぐ後ろのマンションの一室で、じっと病の体をベッドに横たえながら“騒音”に耐えている人がいたかもしれません。 あるいは夜勤明けで昼間に眠らなければならない人にとって、長時間におよぶ応援(=騒音)は耐え難いものであったかもしれません。 しかし、残念ながらそういった人たちには「我慢してもらうしかない」のが都市型マラソンの現実。少なからぬ人々に我慢・苦痛・迷惑を強要した上でランナーは走らせてもらっているのです。 だからこそ私たち市民ランナーは、どこのマラソン大会にもこうした“暗部”が存在するということを、頭の片隅において大会にのぞまなければなりません。そうすることにより、迷惑を被っている人たちの溜飲が少しは下がるのではないかと思います。