別大マラソンの一部報道に違和感。
昨日、別府大分毎日マラソンが開催されました。前回より参加資格が3時間30分に緩和され、女性を含む多くの一般市民ランナーに門戸が開かれました。その別大マラソンに、ロンドン五輪カンボジア代表の座をかけて、タレントの猫ひろし選手が参戦。見事に自己記録を7分縮める快走で有言実行ぶりを示してくれました。
思えば猫選手と私の直接対決は2008年の東京マラソンまでさかのぼります(知り合いではありません)。ちょうど猫選手のフルマラソンデビュー戦で、経験の差(?)で私が勝利を収めました。これが唯一の白星。
以来、各地の大会で4回ほど直接対決の機会がありましたが、いずれも私の惨敗。気づけば猫さんはいつの間にかサブスリーランナーとなり、オリンピック代表を狙う存在へと変貌していました。
昨日の別大ではライバルであるへム・ブンティン選手の昨季の記録2時間31分58秒を破る好走で2時間30分26秒を叩き出し、代表獲得に大きく前進!
・・・と、ここまではいいんですが、明けて今日の一部マスコミの報道に違和感というか嫌悪感をおぼえました。
たとえば某社は「カンボジア新記録」などの見出しを用い、いかにも猫さんが「カンボジア男子マラソン記録を塗り替えた!」的なニュアンスで記事をアップ。
ちょっと待ってください。へム・ブンティン選手は2009年に2時間25分20秒という記録を出しており、これは国際陸連の公式Webサイトにも記載されています。
おそらく、「“昨季の”カンボジア記録を塗り替えた」、という意味なのかもしれませんが、もっとも大切な「昨季の」という文字が記事中どこにも見当たりません。
しかも「ヘム・ブンティン選手が持つ最高記録の2時間31分58秒」とまで言い切ってしまっているので、誰が見てもヘム選手の自己記録(カンボジア記録)が2時間31分58秒だと誤解してしまうでしょう。
ちなみにスポーツ報知はしっかり「ヘム・ブンティン(26)の昨季最高記録(2時間31分58秒)を上回り」・・・と、2時間31分58秒はあくまでも「昨季」の記録であることに言及しています。
あえてさりげなく「昨季」という言葉を使わず、「猫さんがカンボジア新記録!?そこまでリードしたなら文句ないね!」という世論に持っていこうとする書き手の意図が垣間見えて、ちょっと嫌な気分になりました。
猫さん血のにじむような努力に対して、そしてなにより、カンボジア記録保持者であるへム・ブンティン選手に対してたいへん失礼であると感じた次第です。
私もランナーのはしくれですから、自分のベストタイムは「ランナーとしての誇り」です。これを書き手の都合で曲げられてはかないません。