愛媛の女性ランナー声掛け事案に賛否両論。

愛媛県警が発信したローカルの不審者情報が全国ニュースになり、そのツッコミやすい内容から最近までSNS上で論争が続いてきました。

事の発端は今年5月。愛媛県警が以下の不審者情報を発信しました。

<今治署管内>
◆種別:声かけ
◆日時:令和5年5月24日午後5時ころ
◆場所:今治市旭町5丁目の路上
◆状況:女性がジョギング中、車(軽四自動車、高齢者マーク付き)に乗車の男から「ジョギングしているんですか、健康的ですね。」と声をかけられたもの。
◆特徴:80-90歳位

これが論評なくそのままYahooニュースに掲載され、あっという間に全国ニュースに。掲載直後から賛否両論の意見がかわされ、今に至るという流れです。

賛否を要約すると、「賛」はそのまま「気持ち悪い」というもので、「否」は「これで通報は過剰」というもの。

ポイントは2つあると考えます。1つは声掛けの当事者が(見た目年齢)80〜90才の高齢者であること。

これが「否」をとなえる人たちの根拠になっているようです。町を走っている際、高齢者が「がんばれ〜」とか「元気ね〜」とか声をかけてくることは珍しくありません。

要は「気のいいおじいちゃん、おばあちゃん」があいさつがわりに気安く声をかけてくるパターン。「否」派はこのたぐいのことに過ぎないのに「世知辛い世の中だね」というわけです。

ポイント2つ目はクルマから声をかけている点です。これは主に「賛」の論拠になっているようで、「わざわざクルマから声をかけるのは怪しい」というもの。クルマで流しながら獲物を物色しているイメージが浮かんだのかもしれません。

もちろん発表されている以上の情報がないため、賛否双方ともに状況を「想像」しながら意見をたたかわせているにすぎません。

もしかしたら(これも想像ですが)クルマが前方を塞ぐように止まったとか、わざわざUターンしてきたとか、情報だけでは計り知れない何かがあった可能性はあります。このため、「通報は大げさだ」と軽々には言えないとも感じました。

この件に限らず、僅かな情報やコトバだけを鵜呑みにして脊髄反射的に「賛100%!」「否100%!」を叫ぶ人たちが増えており、SNSを見るたびに辟易とします。物事は「100か0か」ではありません。「本当はこうじゃないかな?」と、つねに一歩引いて考える時間を大切にしたいですね。