2009「いびがわマラソン」を体験取材してきました。キャパシティなどの関係からついに定員(10,000人)が設けられた今大会。あらゆる場面で“おもてなしの心”を体現した大会運営が評判を呼び、もはや全国区といっても過言ではない人気を誇るナゴヤ圏“唯一”のフルマラソン大会です。
大会当日は混雑した電車を避けたかったので、あえてかなり遅め(スタート1時間前)に会場入り。すでに食べ物屋台が並ぶメイン会場は人でいっぱい。ちょうど開会式が行われるところでした。
今年から自己申告タイムによりゼッケンが採番され、そのナンバーに応じたスタートブロックに並ぶルールに変更されました。しかし、そのルールを知らないのか故意なのか、多くの人たちが前の方のブロックに紛れ込んでいました。 スタート前の様子。ペースの速い10kmロードレースのような殺気立った雰囲気はありません。みなさん、長い旅に出る前のワクワク感に満ちあふれた表情をしていました。
10;00ジャスト、フルの部スタート。スターターは前回に引き続きスペシャルアドバイザーとして参加してくれた地元出身の髙橋尚子さんです。真下からうまく激写できました。
序盤はだんご状態。ここで慌てても仕方がありません。ウォームアップのつもりで集団に身を任せます。
揖斐川沿いにさしかかるころには、徐々に選手間の距離がバラけてきました。ペースはおおむねキロ4分55~59秒に収まる設定通りの範囲で刻めています。
揖斐峡周辺。色とりどりに染まった山々がきれいです。
10kmあるいはハーフマラソンの場合、多少ムリして突っ込んでも(ペースが早くても)なんとか走りきれるものですが、フルの場合はそうはいきません。「いつ脚にくるか」・・・この恐怖に怯えながら走ることになります。
そんな“恐怖”を忘れさせてくれるのが、地元の方々による沿道からの声援です。とくに幼稚園児や小学生が休日返上で応援してくれるのは微笑ましくて勇気が出ます。子どもたち自身も“やらされてる感”がなく、応援を心から楽しんでいるようでした。
フルマラソンは遅かれ早かれ、必ず「脚にくる」局面が訪れます。場合によっては25km地点ぐらいから脚に違和感が出始めるケースもあり、そのようなレースは最悪で、“死んだ脚”のまま20km近くをゾンビのように進まなければなりません。
今回は幸いにも25km地点をとくに違和感のないままクリア。だからといってペースを上げる愚は犯しません。その後、上り坂がある区間は5分以上かかったものの、30km地点も順調にイーブンペースで通過できました。
それでもまだ安心できません。脚にくる“そのとき”はかならず訪れるのですから。しかし、なんと35km地点を過ぎても快調な走りが維持できていました。「これはいけるかもしれない!」。思いもかけず自己ベストの5文字が頭をよぎりました。 ところが、37kmの表示を過ぎたあたりで急激に脚が重くなりペースダウン。
気がつけば後ろから来る選手に次々と抜かれるばかり。やはりマラソンに「まぐれ」はありませんでした。恐れていた瞬間が、フィニッシュまであと5kmの地点でついに訪れたのです。しかも脚の痛みが尋常じゃなくなり、今にもちぎれそう。結局いつものパターンです。 ひそかに楽しみにしていた「おっかさんステーション」のみそスープが衰弱しきった体に染み渡ります。もう一杯飲みたい衝動をぐっとこらえ、フィニッシュに向けて再出発。
終わってみれば3時間40分はなんとか切ったものの、ベストには15分ほど及ばない結果となりました。しかし、ここ最近のレースの中ではましなタイムです。37k地点で急激なペースダウンを喫しましたが、これも考え方によっては「37kmまで引っ張れた」と前向きに考えられないこともありません。
今年から制限時間が5時間30分になった「いびがわマラソン」。起伏もちまたでいわれているほど激しくありませんし、なにより「おもてなしの心」は日本でトップクラス。おすすめの大会です。