知らなかった!マラソン大会の「お金」のこと。

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ラソン大会中止の波が春のレースにも及んでいます。4月の主要大会はほぼ全滅(長野マラソンは25日に開催可否を発表)、5月〜6月開催大会まで中止を決める大会が出てきました。予断を許さない状況のなか、7月開催のあの大会が「我々の置かれている状況」と題して大会運営の裏側を赤裸々に紹介してくれています。

あの大会とは、先日「7月開催予定の函館マラソンが苦しい胸の内を吐露。」(3/3)という記事でご紹介した「函館マラソン」です。

9404004.png 函館マラソンがエントリーを開始したのは2月26日。ちょうど全国のマラソン大会が続々と中止を決める真っ只中というバッドタイミングでした。 函館マラソンの連載コラムを執筆している「マラソン課長」が「一番キツかった」こととして以下のように述懐しています。 「中止が濃厚なのにエントリーを受付けしておいて、参加料は返金しないというのは詐欺だ!」というお電話が事務局に寄せられたことです。 ご存知のように一定規模以上のマラソン大会は、おおむね半年ほど前からエントリーを開始します。「詐欺だ」「金返せ」といった批判を避けるため、「今年は止めます!」と最初から大会を開催しない判断もできます。 しかし批判を恐れるあまり開催を回避する大会が続出したら、秋〜冬のマラソンシーズンに(仮に新型コロナが収まっていたとして)「あれ?走れる大会がない!」という状態になりかねません。 だからといって、函館マラソンもただ「許してね」と言っているだけではありません。 大会事務局は“リスクマネジメント”として、参加記念品や完走メダルに「2020」の文字を入れないことを決めました。 函館マラソンの場合、大会グッズだけでもその制作費は約2千万円。万が一今年の大会が中止に追い込まれたとしても、メダルやグッズは2021年大会で使えます。大会事務局はこの「2000万円」を次年に繰り越すことができる「資産」(資産A)と捉えました。 我々は大会開催の最終決定を5月末までにいたしますが、グッズ以外にも、可能なものについては5月末までに「支出を確定させない」ように調整しています。 もしその段階でエントリー定員を達成=参加費収入6千万円を頂戴していたら、その時点の収入に対して支出が約1千万円少ない状態です。すなわち、約1千万円の余剰金が発生します(Bとします)。 以上から、AとBを合算した約3千万円が、現時点で見込んでいる我々の「出来る範囲の対応」の原資となります。 6405615.png 以上のように、開催可否決定日(5月末日)までできるかぎり「支出を確定させない」工夫を行い、万一中止となった際、エントリー者に還元(出来る範囲の対応)する原資とするのだそうです。 そして大会事務局は「結論」として以下の2点を宣言しています。 ・7月5日に大会を無事開催することを「最善」として取り組んでいく ・中止の際は参加者への「できる範囲の対応」が「最善」のものとなるよう努めるラソン課長のコラムには他にも、収入・支出の内訳、業者への発注タイミング、大会としての考え方など、たいへん詳しく&わかりやすく自治体主催大会の内情が綴られています。マラソン大会に参加されるすべての市民ランナーに読んでほしい内容です。 <函館マラソン 連載コラム> ・「我々」の置かれている状況(その1) 「我々」の置かれている状況(その2)「我々」の置かれている状況(その3)「我々」の置かれている状況(その4)