新型コロナウイルスが夏開催予定のマラソン大会にも影響を及ぼしそうです。「さすがに夏以降の大会は開催するだろう」と楽観的に考えていましたが、主催者としてはそう簡単にはいかないようです。
7月5日開催予定で現在エントリー受付中の「2020函館マラソン」もまた、対応に苦慮している大会のひとつ。
本日更新された新着情報で「開催可否の判断を5月末日までに決定」することを発表しました。 大会1ヵ月前にあたる5月末日というのは「交通・宿泊等のキャンセルが可能な時期」を踏まえたものだそうです。
ただ、いずれにしても準備は進めなければなりません。つまり、たとえ開催中止という結果になったとしても準備に必要なお金は出ていくわけです。
「参加費の取り扱い」ですが、参加費は規定どおり返戻しないものの、大会中止の決定時期により、業務発注の状況や協賛広告料の収入等,事業収支の見込みが変わることから、中止決定時にあらためて実行委員会を開催し、出来る範囲の対応を検討することといたしました。(函館マラソン連載コラム)
つまり、もしも開催中止となった場合はその時点の収支によりできる範囲の対応をするということです。 収支の見込みについても以下のように率直に述べられています。
函館マラソンの支出は、大会直前の時点では、事業費の9割程度が発注済となります(直前に中止が決まっても、開催するのとほぼ同額のお金がアウトします。ここ数週間、開催直前で中止を決定されたマラソン大会は、既に記念品や完走タオルなどが納品されて、あとは配るのを待つばかり…という状態だったと思われます)。もう少し手前での支出状況は、超概算ながら3月末の段階では4割程度、5月末の段階では5割程度にとどまる見込みです。(函館マラソン連載コラム)
ということで、5月に開催可否の判断をする意味は参加者の経済的負担を少しでも緩和する措置ともいえます。 さらに函館マラソン事務局は以下のような本音も吐露。
一方で収入についてですが、中止決定日が早いほど、協賛企業にお約束している社名入りナンバーカード(ゼッケン)をはじめ、新聞広告や函館市および近郊地区に一斉配布する函館マラソン特集のタブロイド、看板類などでの広告が、掲出期間・掲出量ともに減ることから、協賛企業からの広告収入の総額は減少する見込みです。
つまり、中止の決断が早ければ支出は若干減るものの、逆に広告収入が減少して全体の収支はカツカツか赤字、というわけです。
このように、大会の内情を素直な言葉で説明してくれる函館マラソンが好きになりました。万が一中止になっても「金返せ!」といじめないであげてくださいね。
「Aマラソンはこういう対応だったから、Bマラソンも同じようにしろ!」という考えは思慮に欠けます。規模、予算、人員、地域の受け入れ体制、スポンサー、地元警察の方針・・・大会によって状況がまったく異なるのですから。
■函館マラソン2020 連載コラム「新型コロナウイルス感染症への対策状況の更新について」