おかやまマラソンで“替え玉出走”の危険性が現実に。

pixta_4359150_L.jpgラソン大会の「代理出走」がなぜダメなのか。その理由にはいくつかあり、名古屋ランニングジャーナルでもこれまで何度か取り上げてきました。そんな中、前回のおかやまマラソンにおいて、想定される最悪のケースが現実となっていたことがわかりました。

おかやまマラソン実行委員会事務局によると、『おかやまマラソン2019において「出走権の譲渡による代理出走」が行われたことを確認 』したとのこと。 さらには、『走行中に出走者が体調不良となり、病院へ救急搬送された際、エントリー者の情報との不一致が判明』したということで、替え玉ランナーが問題視されるもっとも悪い部分が実際に起ってしまったカタチに。

今回の替え玉ランナーは救急搬送されたものの大事に至らなかったようですが、大会事務局はしっかり治療費を徴収のうえ、譲った側・譲られた側のランナーを永久追放するなど毅然とした態度でのぞんでほしいものです。 非正規の代理出走がなぜ危険で、卑劣で、迷惑千万な行為のか。その理由を以下にまとめました。

①マラソン大会が「落命リスクのあるスポーツ競技会」だから

残念ながら、マラソン大会では毎年数人の方が命を落としています。仮に替え玉ランナーがレース中に死亡または意識不明に陥った場合、当然ながら登録してある情報をもとにまったくの別人として扱われます。本来の申込者ではないため保険も適用されません。 それでも「自己責任は承知している。走りながら死ねるなら本望!」と強弁する人もいるでしょう。

しかし、本人は死んだらおしまいですが、遺族が主催者を訴えることもじゅうぶん考えられます。 こうなったら場合、主催者側は多大な迷惑をこうむることに。だから「代理出走はダメ」と、どの大会も強く訴えているわけです。

②赤の他人に成りすまして走って虚しくありませんか?

誰かの代わりとしてフルマラソンを走り、いったい何が残るというのでしょうか。沿道からの声援も拍手も、どこかの誰かに向けられたもの。フィニッシュラインを越えたときに気づいても遅いのです。 他人の名前が入った記録証を見たとき、きっと自己嫌悪と虚しさにさいなまれるでしょう。

③卑怯者の烙印を押されることに

替え玉ランナーが入賞して後から発覚、入賞取り消し・・・というニュースを見聞きしたことはありませんか。 ナゴヤエリアの大会では過去に「いびがわマラソン」で、実際には出走していない妻のタグを付けて走った男がいたそうです。 発覚後、新聞沙汰になりました。

そう、成りすましランナーは新聞沙汰になるほど悪質な行為なのです。 さて、替え玉問題を取り上げると必ずといっていいほど「代理出走を認めている大会もある」など的はずれな反応が出てきます。勝手に替え玉出走するのと、正規手続きを経て出走権を譲り受けるのはまったく異質な話です。

最近ではしっかりとした管理のもと、自らの出走権を第三者に譲渡できるRUNNETの「ゆずれ~る」システムも広がってきました。

もしもやむをえぬ理由で大会出場が困難になった場合、まずはこうしたサービス対応大会であるか確認してみてはいかがでしょうか。

ただし、ゆずれ~るシステムを採用していないからといって大会側を非難するのは筋違いであることも付け加えておきます。

繰り返しますが、マラソン大会は一般のイベントとは一線を画す、落命リスクのあるスポーツ競技会です。 『代理出走は、緊急事態発生の際に本人確認ができず大変危険です。安全・安心な大会運営のため、皆さまのご協力をお願いします』という、おかやまマラソン事務局の言葉が全てではないでしょうか。

おかやまマラソン「出走権の譲渡、代理出走について」