大会淘汰の時代がやってきた!神戸マラソンが存続をかけて大改革を予告。

全国のマラソン大会が誘客に苦戦しています。参加者が勝手に集まってくる時代は終わり、いよいよ大会淘汰のフェーズを迎えたといえるでしょう。そんな中、いち早く生き残りをかけた大改革を模索する大会も出始めました。

2011年(平成23年)にスタートした「神戸マラソン」もその一つ。神戸マラソン実行委員会は「神戸マラソン将来構想検討委員会」を立ち上げ、大会改革の具体策(「神戸マラソン将来構想」に係る提言)をまとめ、23日に公表しました。

提言では「マラソン大会を取り巻く環境が大きく変化」したことを認め、神戸マラソンの課題として以下6点を挙げています。

① 記録向上・安全性と都市の魅力発信を両立したコース設定
② エリート選手参加などによる競技性の向上
③ 海外誘客や地元商店街と連携した賑わいづくり
④ 沿道地域住民、事業者への配慮
⑤ 既存のコースを最大限に活かし、調整コスト・時間を削減
⑥ 持続的な運営体制・財的基盤の確立


これら課題に対する具体的方策が以下の5項目です(一部省略)。

1.フィニッシュ場所の変更

フィニッシュ地点を、神戸ポートタワーを眺望でき、三宮駅や元町駅、神戸駅付近の繁華街が近いウォーターフロントエリアに変更することにより、ランナーや沿道応援者などによる賑わいの創出や経済効果の大幅な増加をねらう。

2.魅力と競技性を高める新たなコース設定

浜手バイパスから神戸大橋を経由しポートアイランドに向かうコースを回避できることから、①ランナーにとって大きな障壁となっているコース終盤における高低差の解消②神戸大橋上における 向かい風を受けやすい状況の解消、窮屈な折り返し地点の改善が見込まれる。

3. 車いすやファンラン 、ファミリーラン」など多様な種目設定

神戸大橋を経由しないフラットなコース設定により、車いす種目を開催することが可能になる。ファミリーランやファンランなどを設定することは 、新たな神戸マラソンファンの獲得やマラソン文化の醸成にもつながる。

4.海外ランナー誘客の促進によるインバウンド対策

神戸マラソンのブランド力をより高め、大会の魅力を向上させるためには海外誘客 の更なる推進が必要である 。

5.神戸マラソンのブランド化の推進による持続可能な大会運営

持続可能な大会にしていくためにも、神戸マラソンの魅力を高め、ランナーに選ばれる大会としてブランド化を推進する。なお、開催時期については、気候や他大会の状況などを考慮するなど、ランナーがより参加しやすい時期を検討していくべきである。

以上のうち、参加ランナーにもっとも影響があり、エントリーの決め手になるのは「フィニッシュ地点」および「コース」の変更でないでしょうか。

これまでのコースは37〜38kmあたりから自動車専用道に上がっていくため、終盤のもっとも辛い局面で急な上りが現れ、沿道応援も極端に減るマイナス面がありました。実際私も体験しましたが、ボランティアの方々が賢明に声援を送ってくれたおかげで乗り切ることができました。

一番辛い局面で前方にそびえる上り坂(筆者撮影)

高低図を見れば一目瞭然。最終盤にドーンっと山があり、記録を狙うにも不向きな大会であることがわかります。

何よりこの手の自動車専用道は、横浜マラソンもそうですが無味乾燥で正直つまらない・・・(言っちゃった!)。

  

壁で景色は見えず沿道の一般応援もなくなる(筆者撮影)

フィニッシュ地点も「ポートアイランド」といえば聞こえはいいものの、はっきりいって何もなく地味な印象です。

提言ではさらに、コースおよびフィニッシュ地点の変更により「現コースを走ったトップランナーの実績を元に推定すると、約50〜60秒以上のタイム短縮が見込まれ、国内屈指の高速コースの実現が可能」になるとしています。

思えば東京マラソンはフィニッシュ地点を大胆にも東京駅前に変え、世間をあっと驚かせました。同大会の変わらぬ人気ぶりは言うまでもありません。

通常、コースの一部を変えるだけでも関係各所の調整が大変だと聞きます。しかし、そこで諦めるか、前に動くかで大会の存続がかかってくる今、神戸マラソンにはがんばって改革を推し進めていただき、より魅力ある大会に生まれ変わってほしいと思います。