マラソン大会は「抽選」か「先着順」か?

じつに9.6倍もの狭き門となった東京マラソンは極端な例とはいえ、各地で開催されるマラソン大会の盛況ぶりはとどまるところを知りません。中でも一部の超人気大会は、そのエントリー方法が議論のマトになっています。それは簡単にいえば「抽選」か「先着順」か、とうこと。いったいどちらがランナーにとって良い方法なのでしょうか。 runnerimage.jpg たとえば前回5時間で完売となった「長野マラソン」の場合、エントリー方法は「先着順」で窓口はインターネットのみ(2011年大会は電話受付枠もあり)。出場希望者はみんな前日から身を清め、受け付け開始10分前にはパソコン(ケータイ)の前にスタンバイ。いざエントリー開始となれば、ひたすらリロードの繰り返し。 数時間そのまま体勢をくずさず、トイレも我慢してリロード、リロード、リロード・・・。そんな過酷ともいえる「予選」を勝ち抜いた者のみが、長野マラソンのスタート地点に立てるのです。信じられないかもしれませんが、「エントリーするためだけに仕事を休む」人も実際にいらっしゃいます。 これが何を意味するかというと、長野マラソンに出場する8,000人全員が「心の底から長野を走りたい!」と願って出場している人たちだということ。 当然、スタート直後から歩きだす者などいませんし、仮装ランナーなんて皆無です(厳格に禁止されているということもありますが)。「純粋にマラソンを楽しみたい」。そんな充溢した雰囲気が、長野には満ち満ちています。 では、「抽選」の代表格「東京マラソン」はどうでしょう。エントリー数が33万人にのぼったとはいいますが、この中で本当に「東京をどうしても走りたい!」と思ってエントリーした人はいったい何人いるのでしょうか。 「東京夢舞いマラソン」の時代から「東京マラソン」出場を夢見ていたベテランランナーが、「今年こそ」と祈る気持ちでエントリーしたにもかかわらず、5年連続で落選するという悲劇が起こっています。一方、「とりあえず申し込んだけど当たっちゃった〜。正直ウゼ〜。金ないしどうしようかな〜」みたいなフザけた者が存在するのも事実。 ただ、抽選によってなんとなく当たってしまった人が、東京マラソン出場をきっかけに「走ることの面白さにめざめた」というパターンもきっと少なくないでしょう。「結局いちばん公平なのは抽選だ」とする意見もあります。「公平性」という観点からみれば、たしかにそのとおりだと思います。 「心の底から出たい人」が出場できる確率が高くなるので、私は基本的に「先着順」を支持しますが・・・正直、疲れます。じつは長野も「いっそのこと抽選にしてほしい」とひそかに思っていました。「心は先着順、体は抽選」といったところでしょうか。意味わかりません。 そんななか、「抽選派」「先着順派」の両陣営を納得させる大会が現れました。それは「とくしまマラソン」で、「先着枠5,000人」「抽選枠2,000人」を設けるというユニークなもの。非常に面白い試みなので注目したいと思います。