「走る」ことによって被災地支援につなげるランナーならではのチャリティ。それは日本にとどまらず、全世界のムーブメントとして盛り上がりを見せています。ということで本日は、なかなかニュースで取り上げられない世界のチャリティマラソンや市民の皆さんの草の根的な支援行動をご紹介します。
photo by:MOFA, Japan's photostream
世界中の人々による小さくとも温かな日本支援のアクションを掲載しているのは、外務省の「がんばれ日本!世界は日本と共にある〜世界各地でのエピソード集〜」というコーナー。 支援エピソード(各国の日本大使館が独自に把握した情報)を事細かにPDFファイルで紹介しています。では、まず「マラソン系チャリティ」をピックアップしてみましょう(以下、原文をそのまま転載)。
<マラソン関連>
●3/17:ケニア 首相がケニア人マラソン選手等を帯同して日本大使館へ弔意の表明に訪れた。ダグラス・ワキウリ (ソウル・オリンピック銀メダリスト)、サムエル・ワ ンジル(北京オリンピック金メダリスト)等の日本でトレーニングを行っていたケニア人マラソン選手や当地スポーツ関係者等は、日本で育ててもらったことを感謝しており、このような時にこそアフリカから日本へ応援のメッセージを送りたい等の哀悼及び激励の言葉を述べ、ケニア人マラソン選手一同より、日本語で声をそろえて「がんばってください!」と励ましのエールが送られた。
●3/20:アメリカ:ロサンゼルスマラソン参加者 マラソン開会式にて参加者全員による黙祷。「がんばれ日本」「PrayforJapan」といったメッセージを背中に着けて走る選手、日本国旗を持って走る 選手が多く見られた。
●3/20:イタリア:ローマ・マラソン参加者 毎年開催されるローマ・マラソンで、主催者のローマ市長が開会挨拶で「このローマ・マラソンを日本 に捧げる」として日本国旗を掲げたほか、沿道で日本国旗の小旗がふられたり、外国人ランナーの中でも日本国旗をかがげるなどの応援があった。日本人ランナーに対し、沿道や他のランナーが次々と被災地への激励のメッセージや応援の言 葉をかけた。
●3/21:スイス 軍縮関係の各国外交団の中でジュネーブ・ハーフ マラソンに日本復興を呼びかけるTシャツを着て出場し(Tシャツの売り上げは日本赤十字に寄 付)、出場者と賛同者でピース・ウィンズ・ジャパン に寄付するという動きが始められた。
●3/27:タイ:エンポリアム社主催 チャリティ・マラソン開催(5,000名参加)
●4/8:イスラエル テルアビブ・マラソン(参加者約2万人)で、英国に始まったラン・フォー・ジャパン運動への参加が呼 び掛けられた。
●4/10:フランス:パリ・マラソン参加者 パリ・マラソン(毎年実施)で、スタート前の黙祷、日本応援の横断幕と日本国旗を掲げた行進を実施予定。
●4/10:コンゴ民主共和国 NGO団体LISPEDが追悼マラソン大会を実施。開会式・閉会式で、弔意、連帯の重要性、被災者への激励の言葉が繰り返し述べられた。
●4/17:フィリピン 多くの団体が各地でマラソンを通じたチャリティ・イベントを開催予定。 次に、マラソンとは関係ないものの、ニュースではなかなか取り上げられない世界の人々の草の根的な日本支援エピソードをピクアップしてご紹介します。
●ポーランド:タクシー運転手 邦人がタクシーを利用して料金を支払おうとしたところ、運転手が「日本人なら料金はいらない。これが今日本のために自分ができる精一杯のことだから」と言って料金を受け取らなかった(同邦人はそのタクシー代を赤十字に寄付)。
●エクアドル:元JICA研修生 福島原発における作業に志願したいと日本大使館に申し出た。大使館より現状などを説明したところ、本人は「危険なことは十分承知している、また保障等求める意志もなく、ただ役に立ちたい一心で志願している。不可能なことは承知したが、仮に派遣が可能になった時には連絡して欲しい」と述べた。
●カンボジア:バイクタクシーの運転手 運転手が大使館を訪れ、5ドルを寄付(バイク・タクシーの料金は1回0.5ドル)。
●ジンバブエ:市民 市民より、日本大使館に対し、「放射能汚染等により日本の皆さんが飲料水に困っていると知った。個人的にミネラル・ウォーターと医薬品を日本に届けたい」旨の申し出があった。
●インド チェンナイ:市民 追悼集会が太陽を描いた大きな看板「日はまた昇る(The sun will rise again)」を掲げた。
●インド:スラム地区の生徒約50人 被害にあった日本の子供達に対するお見舞いのメッセージを持参し、日本大使館を訪問、記帳を行った。
●インド コルカタ 各地で開催された追悼集会で、参加者は、日本は戦後の廃墟、阪神・淡路大震災から復興してきた国であり、今回の大震災からも復興を果たし、より強い国になるものと信じていると口々に発言した。
●インドネシア アチェの津波(2004年)やジョグジャカルタ地震(20006年)で親を失った子供たちから励ましの寄せ書きが日本大使館に送られた。「僕たちも同じように被災した仲間だから、悲しまないでがんばって」等。
●タイ:スラム街の人々 バンコク最大のスラム街で、募金活動が実施され、小さな子供を含む多くの人々が呼びかけに応じた。
●台湾 高雄:タクシー運転手 タクシー運転手が、高雄日本人学校入り口に設けられた募金箱を目にして、「自分も日本を応援したい」と車から降り、募金箱に駆け寄って寄付している。
●台湾 高雄:小学生 親からもらった1回分の朝食代20元(約60円)を寄付し「すぐにお昼ご飯の時間になるので、大丈夫」と言った生徒がいた(地元報道)。
●韓国 済州:中学生 手作りのヌルンジ(おこげでできた韓国伝統の菓子)を、避難所となっている仙台市のNPO法人「東四郎丸児童館」に送付した。
●中国 北京(日本大使館):市民 弔問記帳者の中には、被災地に思いを寄せて涙を流す方、花束を持ってきて、事前に用意したメッセージを置いていった方等もいた。
●中国 上海(日本総領事館):市民 今年77歳になる中国人が、日本総領事館に募金に来るため新しい靴を買い、髪も切って総領事館を訪れた。彼は、「実は自分は日中国交正常化当時、対日賠償要求擁護者だった。(賠償放棄した)毛沢東・周恩来は愚かだ。それでも今回の災害と以前の戦争は全く関係がない。今回の震災で、日本人の国民的素養が中国人よりも数段上であるということを、改めて実感した」と言い、「少なくて申し訳ないが」と200元(約2600円)を義捐金として寄付した。
●東チモール ディリ ディリ市内に大きな看板「Pray for Japan 日本のために祈る」が掲げられている。
●アメリカ:救援隊 被災地に面する高台に被害を免れた家屋があり、レスキュー隊員が現場俯瞰のために立ち入りを希望したところ、住んでいた家族はこれを快く受け入れてくれた。その家族のうち女子中学生が英語を学んでいたが、恥ずかしがってレスキュー隊員となかなか会話できずにいた。女子中学生が将来英語を使う仕事に就きたいとの希望があると知ったレスキュー隊員が、名刺を渡し最終的にメールを交換することとなった。 ●カナダ オタワ:小学校教員 福島在住経験をもとに、福島の被災状況や日本の文化の紹介を全校生徒約700名に対し(1クラス30分ずつ)、朝から夕刻まで実施予定。
●カナダ バンクーバー:市民 日本総領事館が開設した地震関係のメールアドレスに、被災者を自宅等にで受け入れることが可能なので、遠慮無く申し出て欲しいとの多くのメールが届いている。
●アイルランド:市民 震災直後から数日間は1日100件以上、現在も連日数十件の激励の電話、メール、書簡が日本大使館に寄せられている。
●カザフスタン:一般市民である3人姉妹 約60万円相当(一般公務員の年収に相当)の義援金が寄付された。
●スイス 子供が描いたと思われる「Tsunami」の字とハートマークが描かれた白い買い物用ビニールに30フランと数ユーロがくるまれ、大使館の敷地に置かれていた。
●ボスニア・ヘルツェゴビナ 支援の申し出が多く集まっている。申し出の多くは「日本はボスニアの紛争後の復興に多大な協力をしてくれた。今は我々が日本を助けたい」という気持ちから行われている。
●ルーマニア ブカレスト:市民 「何か自分に出来ることはないかと思い、いてもたってもいられず電話をした」という連絡が日本大使館に多数あった。休日にもかかわらず弔意を表したかったとして大使館に花束を持ってきた人や、「被災地の家族や子供の方々をホームステイとして受け入れる」旨の申し出が多数あった。
●ロシア(日本大使館):市民 アルメニア系の男性は、深くお祈りをするとともに、義捐金を預け、「アルメニアの大地震(1998年)の際、私は親戚を5人失い、子供も1人亡くした。自分も頬に傷を負った。今回テレビで日本の地震の映像が流れているが、他人ごととは思えない。自分は地震を乗り越え、今ロシアで仕事をしている。日本人は頭がいい民族だ。すぐに地震から復興できるはずだ。出来ることがあればなんでも言って欲しい」と我がことのように心配していた。
●コスタリカ(日本大使館):市民 「世界の手本であり、愛する日本の危機に少しでも協力したい」趣旨の多数の連絡が日本大使館にあった。
●ブラジル:貧困地域の生徒 各人が小銭を持ち寄り、空き缶に入れて大使館に持参、記帳。「ブラジルの友達である日本が苦しんでいるので、わずかであるが、ささやかな気持ちなので被災者のために役立てて欲しい」。
●ベネズエラ:市民 日本大使館員が大使館前広場でテレビのインタビューを受けた際、近くでインタビューを聞いていた一般の女性が、被災者に対する哀悼の気持ちから涙を流した。
●ニュージーランド オークランド 被災者に対し、NZにおけるホーム・スティ先・宿泊先を提供する「Time out in New Zealand」プロジェクトが立ち上がっている。
●トルコ:市民 日本大使館に、1000通を超す被災者へのお見舞い、励ましの電子メールが届いている。メールには、自宅や別荘において被災者を受け入れる準備がある等、少しでも支援したいとの内容が多い。
●ボツワナ(日本大使館):ノースサイド小学校の生徒 小学校4年生約20名が当館を来訪し、記帳を行った。記帳メッセージは、今般の地震・津波被害を心からかわいそうに思っている、遠いボツワナからでも助けになりたい、日本は素晴らしい国であり、日本人の勇気を尊敬している等。生徒から「このメッセージが日本政府や同年代の子ども達に届くことを願っている」との要望があった。同校は義捐金を募る予定だが、中には、記帳が終わったその場でポケットから小遣いを出し、寄付する生徒児童もいた。
●マラウイ(日本大使館):小学校の生徒 小学4年生約40名が被災地の子供達に向けてそれぞれ英語や挿絵を描き「I love Japan」などと励ましのメッセージを書き日本大使館に送った。
・・・以上はほんの一部。もっと読みたいという方はこちら(外務省HP)からどうぞ。写真入りで紹介されているエピソードもあります。