県でも市でもなく「町」が運営主体でありながら、全国的な知名度を誇る人気大会に成長した徳島県海陽町の「海部川風流マラソン」。残念ながらその歴史の幕を閉じることになりました。
海陽町は徳島県の南部に位置する町で、人口は8千人程度。海と山に囲まれた風光明媚な自然が魅力です。 そんな海陽町で「第1回 徳島・海陽 究極の清流 海部川 風流マラソン」が行われたのは2009年のこと。
東京マラソンの大成功で、全国に続々とフルマラソン大会が誕生した時期でもあります。 「風流マラソン」と書いて「フルマラソン」と呼ばせる大会名で注目を集めた同大会。 折からのマラソンブームもあいまって、県主催の「とくしまマラソン」(2008年〜)とともに全国区の知名度を得るに至りました。
新型コロナ禍においては、2020年は通常開催できたものの、21年・22年と中止に(オンライン開催)。 23年大会の開催可否がなかなか示されないなか、ついに発表されたのが「終了」という決断でした。 今年のオンライン大会のWebサイトに掲げられていた「未来へつなぐ大会へ!」というコピーが悲しく感じてしまいます。
海陽町によると、終了に至った理由は第一に財源の確保が困難になったこと、そして大会を支えるボランティアの方々の高齢化であるとのこと。 山深い海部川沿いを走るコース、お接待の心で迎えるおもてなし、町が運営主体であることなど、どことなく「いびがわマラソン」に似ている気がします。
感染症による中止リスクや物価高騰のあおりを受けて、これからは海部川風流マラソンに限らず終了の決断をする大会が増えるような気がしてなりません。あなたのまちの大会は大丈夫ですか。