低酸素トレーニングの効果を実感!「ハイアルチ」体験レポ[後編]。
高地トレーニングスタジオ「ハイアルチ」体験レポ[前編]より続く。
東海地区初登場となる高地トレーニング施設「ハイアルチ」。正式オープンに先駆けて鈴木ランニングクラブのみなさんに体験いただきました。まずトレーナーに指示されたのが「全力もも上げ30秒」。その前に平常時のSpO2(血中酸素飽和度)測定を行いました。
そもそもなぜ低酸素の中での運動が様々な効果をもたらすのでしょうか。簡単におさらいすると・・・
酸素が薄い→血中の酸素濃度が減る→無意識に体内に酸素を取り込もうとする→通常時よりもミトコンドリアが活性化し、ヘモグロビンなどが徐々に増加する。
その結果、1. 効率よく酸素が取り込めるようになり「スタミナ&持久力アップ」につながる。 2. 乳酸の増加が抑制されることにより「疲れにくい体」になる。 3. ミトコンドリアの活性化により脂肪燃焼効果が上がり「痩せやすい体」になる。
・・・などのメリットが見込めるのです。ということで、ハイアルチの効果を図る上でSpO2(血中酸素飽和度)が極めて重要だということはご理解いただけましたでしょうか。測定には一般的なパルスオキシメータを使用します。
もも上げ前のSpO2はみなさん概ね95前後。これはごく通常の数値で問題ありません。
みなさん正常であることを確認し、渾身のもも上げスタート!
そして30秒後、疲労がピークに達し崩れ落ちる参加者たち。
さぞかし乳酸出まくりでSpO2も下がっているかと思いや・・・あれ?参加者の一人(男性)はもも上げ前97に対し、実施後は98。むしろ上がっています。
つまり、よほど強度の高い運動を継続しない限りSpO2は安易に下がらないということに他なりません。
以上を踏まえていよいよハイアルチルームに入室。私も一緒に入りましたが、とくに何も感じません。本当に酸素が薄いのか体感的にはわかりませんでした。
部屋の中には自走式のトレッドミルが5台。天井の4つの通風孔で酸素濃度をコントロールします。気温は20℃以下に設定してあり寒いぐらい。
まずはトレッドミルに乗り、ウォーキングからスタート。時速7kmほどでゆっくり歩きます。
5分後、1回目のSpO2計測。すると、なんとみなさん概ね87前後まで下がっていました(人によって異なる)。
先ほど激しい運動(もも上げ)を実施した際はまったく変化がなかったのに、ハイアルチルーム内でほんの5分ゆっくり歩いただけでマイナス10。
かなりの負荷が体にかかっていることが分かります。その後、5分ごとにトレーナーがSpO2を計測。
体験ランナーYさんの場合を例に取ると、開始から0~5分/時速7km歩行→SpO2=87、5~10分/時速7.5km歩行→SpO2=84、それ以降は時速7.5kmキープでSpO2は84~85で推移。
試しに時速8kmまで上げるとSpO2は82まで減少し、トレーナーからスピードを落とすよう指示がありました。
傍から見ると普通に歩いているだけ。体験中のみなさんに話を聞いてみると、心肺はまったく苦しくないそうです。しかし、その言葉とは裏腹に汗びっしょり。寒いくらいに冷房がきいているにもかかわらずです。
結局、30分で走った(歩いた)のは3〜4km程度。開発者の新田さんいわく、自分では感じていないもののかなりの負荷が身体にかかっている状態とのこと。
体験ランナーYさんがハイアルチトレーニングからの帰宅後、近所の道を「2km走ってみたところ、15kmくらい走ったような疲労」を感じ、体に相当な負荷がかかっていたことを実感したそうです。
「30分で2時間分の運動効果」という触れ込みはけっして大げさではないということでしょうか。
このため新田さんは「レース前日に(ハイアルチを)実施するのは、疲労が抜けないのですすめない」とのこと。高負荷ゆえにハイアルチでのトレーニングは月4日(理想は6日)、1回30分でじゅうぶんというのもうなずけます。
効率よく走力を養えるハイアルチは、サブスリーレベルの上級者からフルマラソン完走狙いの方まで、トレーナーの指導のもと行うひとコマ40分のプログラム。その効果をいちど体感してみてください。
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