マラソン大会が復活しはじめている今、あらためて自身のフォームなどを再チェックしてはいかがでしょうか。ランニング中、着地時にかかる衝撃は体重の3〜4倍。体重60kgの人なら180kg〜240kgの衝撃を受け続ける運動がランニングというわけです。足が地面にどれだけ激しくぶつかっているか、つまり「垂直」方向の荷重が障害の原因になることは容易に想像がつきますが、「水平」方向の制動力も怪我リスクに結びつくことが注目されています。
ブリティッシュ・コロンビア大学の研究者グループが、65人の女性ランナーを対象に調査を行いました。 参加ランナーは計42個のマーカーを頭部、胴、四肢に貼り付け、15週間におよぶトレーニングプログラムを実施。期間中、22人のランナーが膝などに何らかの痛みを生じるに至りました。
その要因は足が地面にどれだけ激しくぶつかっているか、つまり垂直方向の負荷だと考えられていましたが、むしろ平行方向に生じる制動力が障害リスクを高めている可能性のあることがわかりました。
つまり着地時に前足がブレーキとなり、余分な負荷をかけている状態が続く。これがランニングエコノミーを損なうだけに留まらず、ケガの大きな原因になるというわけです。
もちろん垂直方向の衝撃は大きな負荷に変わりありませんが、ヒトのカラダは垂直方向の衝撃にある程度耐えられるように設計されています。(だからウルトラとか走れちゃうわけですね)
しかし、調査に携わった理学療法士のChris Napier氏によると、平行など他の方向から作用する力に対しては極めて脆いことがわかっています。
よく「接地は身体の真下で」と言われることが多いでしょう。これは上記の調査結果からもわかるとおり、理にかなったアドバイスです。 Napier氏いわく、ブレーキをかけ過ぎる走り方を改善するには、「(スピードを落とさずに)ピッチを増やす」などの方法が有効とのことです。
参考:How running gait increases injury risk(The Globe and Mail)