「地元ランナー優先」こそ市民マラソンのあるべき姿。
自治体が主催にからむ市民マラソンの目的といえば、第一に「地域振興」が挙げられるのではないでしょうか。開催地域の地元市民ランナーたちの盛り上がり無しでは、いくら定員を満たそうとどこか空虚さがただよう大会になってしまうでしょう。
県外からの前泊ランナーを呼び込むことでお金を落とさせ、地域振興を図る・・・という考えももちろん間違ってはいません。
ただ、それにより地元ランナーの出場機会が圧迫されるのは本末転倒。マラソン大会は単なるイベントではなく、地域が一体となって作り上げるもの。まずは開催地の市民ランナー(ランニング文化)を第一に考え、彼らから支持を得ることで初めて県外からのランナーを上っ面ではない真の「おもてなし」で迎えられるのです。
こうした市民マラソンの基本に立ち返り、「地元優先枠」を設ける大会が増えてきたのは喜ばしいこと。というより今は、地元優先枠を設けない大会のほうが少数派なのではないでしょうか。
そして今回、「さいたま国際マラソン」が打ち出した地元優先枠が英断だと注目を集めています。
一昨日公開された同大会の開催概要によると、一般フルマラソンの部の定員16,000名のうち、1,000名を埼玉県民優先枠として確保。これだけなら他大会でもやっていることですが、すごいのは「さいたま市民優先枠」。
なんと人数制限を撤廃したというからオドロキです。つまりさいたま市民であれば、エントリーすれば必ず参加できるということ。
もっとも、たとえば東京マラソンや大阪マラソンでこれをやったら地元民だけで埋まってしまいそう。さいたま国際だからできるという一面があることは否めません。
しかし「さいたま市民で走りたい人は全員ウェルカム」という地元優先策を打ち出したのはとてもインパクトがあり、よいPRになったのではないでしょうか。
ちなみに、厳正なる抽選と謳っておきながら地元ランナーの当選を人為的に抑制し、そのぶん県外からの前泊ランナーに割り当てる・・・以前とある大会でそんな疑惑が持ち上がりましたが、それは大会(主催者)自ら地域のランニング文化を停滞させる行為であることを忘れてはなりません。