今年で6回目を迎える「熊本城マラソン」を実走取材してきました。ご存知の通り、熊本は昨年4月に発生した熊本地震により大きな被害を受けました。一時は開催が危ぶまれた熊本城マラソンですが、様々な人たちの尽力・支援により、震災から1年経っていない中での開催が実現したのです。
ひとくちに大規模マラソンといっても、私はわきあいあいとした“おらが町のマラソン大会”がそのまま大規模化したような大会が好きです。 たとえばナゴヤエリアでいえば「いびがわマラソン」。手作り感あふれるほのぼのとした雰囲気を保ったまま大規模化に成功している稀有な大会です。
今回の「熊本城マラソン」もわずか6回目という若い大会ながら、地域との自然な一体感を醸し出すとても心地いい大会でした。
●地域ごとに特色ある応援で迎えてくれる
町・地域ごとに手作りの横断幕でランナーを迎える皆さん。
心から応援を楽しんでいる様子が伝わります。さながら町対抗の応援合戦といったところでしょうか。「次の町はどんな応援で迎えてくれるかな?」と期待感を抱かせてくれました。
●老若男女総出でサポート。ボランティアの皆さん
スタート・フィニッシュ会場やコース上のあらゆる場面でランナーをサポートしてくれたボランティアの方々。やはり、マラソン大会で一番大切な存在はボランティアだと再認識させてくれました。
●マラソン大会の成熟度を表す充実した私設エイド
市民マラソンの成熟度を図る要素の一つに「私設エイド」があります。熊本城マラソンは沿道とコースが近く、ランナーとのコミュニケーションが取りやすい環境。
このため、家族や仲間単位でテーブルを用意し、飲食をふるまう私設エイドが充実していました。
●沿道の方々による途切れない応援
巨大地震という恐ろしい体験をした熊本の方々による応援には、とても力をいただきました。想像してみてください。わずか6日間(4月14日〜29日の間)で、震度7が2回、震度6強2回、震度6弱3回、震度5強5回、震度5弱10回、計22回もの大きな地震に遭ったら、いったい心はどうなってしまうのでしょう。
たとえ物的・人的被害がなかったとしても、その恐怖感は計り知れません。だからこそ、今回の熊本城マラソンにおける沿道の応援にはしっかり耳を傾けようと心に決めていました。
●充実のランナーサービス
前日受付、当日の会場の動線、荷物預け、フィニッシュ後の動線など、ストレスを感じる場面は皆無。じつにスムーズでノンストレスなオペレーションでした。
エイドの数、給食の内容も満足。とくにイチゴがおいしかった・・・。参加賞も充実しており、中でも崩落した天守閣の瓦のかけらは、熊本城マラソンならではの記念品としてとても素晴らしいアイデアだと思いました。