第4回大阪マラソンを実走取材してきました。初めての参加となる大阪マラソン。本日より数回にわたり、その魅力を名古屋ランニングジャーナル的視点からあますところなくお届けします。vol.1は「なにわ品質」篇です。
大阪マラソンにはいい意味で裏切られました。というのも、お笑い文化に代表される大阪独特のコテコテした世界観を「これでもか!」と前面に押し出してくるかと思いきや、意外にも硬派な大会運営に終始していたから。
もちろん「硬派」といってもおカタいという意味ではまったくなく、「すべてのランナーが気持ちよく、安心して走れる」ことを真摯かつシンプルに追求した「for runner」な大会運営がベースにあるということ。
「マラソン大会なんだから当たり前じゃないか」と疑問に思われる方も多いと思いますが、たとえばランニングとは無縁の芸能人ゲストで客寄せを図ったり、一風変わった参加賞を目玉にすることなどを他大会との「差別化」「特長」であると履き違えている都市型マラソンが存在することも事実。
その点、大阪マラソンは、「地域が自発的に盛り上がる」「選手が楽しく安全に走れる」ことこそ、スポーツ競技会たる「市民マラソン大会の本質」であることをしっかりわきまえている、そんな印象を持ちました。
さらに大阪マラソンは、「チャリティマラソン」であることを明確に打ち出し、「世界一のチャリティマラソンをめざす」ことを標榜しています。EXPO会場ではかなりのスペースを割いてチャリティコーナーを設けていました。
エントリーの際に募金を集めたり、チャリティランナー枠を設けている大会はほかにも多くありますが、それだけで終わりのケースがほとんど。 大阪マラソンの場合、会場にチャリティ先(がん患者サポート、難病の子どもサポート、震災支援など)それぞれのブースを設け、「募金がどのように活用されるのか」が当事者の生の声で聞けるよう工夫されています。
つまりランナーとチャリティ先が実際に会い、コミュニケーションできるというわけ。こうした触れ合いが、少なからず走りのモチベーションにつながった選手もいたでしょう。 「EXPO」篇でも触れますが、お笑い芸人の森脇健児さんを公式応援団長に起用しているのは正解だと思いました。
いまもっとも市民ランナーが共感するタレントさんではないでしょうか。 芸能界(関西芸人)で他にも速い人はたくさんいますが、速すぎてもダメなんです。がむしゃらにがんばっているのに、なんだか空回り的な親しみやすいキャラ。その絶妙な“等身大加減”が魅力なのかも。
走ったことすらない芸能人にマラソンのことを語られてもピンときませんが、まさに“ランニング馬鹿”を体現している森脇さんの言葉には重みがあります。「しんどなったら気力で走ればええねん!」なんて言われれば、「ああ、そうかな」と納得してしまいます。 「市民ランナーと同じ目線」「全力で取り組んでいるのに楽しそう」「まじめだけど親しみやすい」・・・なんだか大阪マラソンを分かりやすく表現したのが森脇健児だといえるような気がしてきました。 そして忘れてはならないのがボランティアの皆さんです。大阪マラソンでは10,000人にものぼるボランティア(およびスタッフ)がランナーのために動いてくださいました。
EXPO会場にはボランティアスタッフの紹介コーナーも。運営側のこうしたはからいも、ボランティアやスタッフの皆さんのモチベーションを上げる一因になっているのかもしれません。「ボランティアにやさしい大会は、ランナーにもやさしい」。これ、本当です。
さて、明日はvol.2「レース篇」をお届けします。その後、「食い倒れ篇」「EXPO篇」と続きます(予定)。