来春4月に創部される「日本郵政グループ女子陸上部(以下、郵政陸上部)」の創部発表会を取材してきました。創部の理念や目標などはすでに大手マスコミ報道やプレスリリースなどで明らかになっています。
発表会の会場は東京駅丸の内駅舎に隣接するJPタワー カンファレンスルーム。受付を済ませて部屋に入ると、すでに多くの報道陣がスタンバイしていました。
創部発表会は定刻どおりスタート。最初に日本郵政社長の西室泰三氏より発足の挨拶が述べられました。
つぎに髙橋昌彦さんの監督就任挨拶。若干緊張ぎみでしたが、決意に満ちた凛々しい表情をされていました。
髙橋監督はかつて小出義雄監督のもとで有森裕子さんや高橋尚子さんの指導に携わり、その後、コーチ・監督を歴任したUFJ銀行(東海銀行)陸上部、トヨタ車体陸上部では長らく大南博美・敬美姉妹を指導。
トヨタ車体が廃部となってからは、おもに名古屋(愛知県)を拠点に大南姉妹ともども私たち市民ランナーのコーチングにも積極的に携わってきました。ナゴヤエリアの市民ランナーの中には、髙橋監督から直々に指導を受けた方も少なくないでしょう。
ランニングジャーナルにおいてもこれまで、トヨタ車体陸上部監督を務められていた頃から事あるごとにアドバイスをいただいてきました。『ランニングコースガイド 名古屋みちくさランニング。』のHow Toページ監修もその一つです。 FUNRUN758のイベントにも気軽にふらっと遊びにきてくれたりと、日本で有数の実績を持つ陸上長距離指導者とは思えないほど気さくな人柄です。
さて、監督の話はこれぐらいにしておきましょう。やはり主役は入部(入社)が内定した選手の皆さんです。司会者が名前を呼び上げ、一人ひとりステージに登壇。
1人目は柴田千歳(しばた ちとせ)さん。東京学芸大学4年で、世界クロカン日本代表などの実績を持っています。
2人目は鈴木亜由子(すずき あゆこ)さん。名古屋大学4年。鈴木米穀店の娘。とくに地元愛知ではおなじみの選手です。今年の日本選手権 5000mでは、実業団の先輩ランナーたちと互角以上の勝負を挑み4位に入る健闘をみせました。
3人目の藤田千尋(ふじた ちひろ)さんは鹿屋体育大学4年生。高校総体 3000m優勝、九州インカレ 10000m優勝などの実績があります。
もう一人、関根花観(せきね はなみ)選手も地元・豊川高校の3年生。2011年 全国女子駅伝で区間賞(第3区)、2012年 全国高校女子駅伝では区間第2位(第4区)に入るなどの実績を持っています。(創部発表会当日は欠席)
選手の紹介が終わったあとはスペシャルゲスト増田明美さんが登場。
増田さんが現れると、緊張感にあふれていた場の空気が一変。TVの解説そのままの軽妙なトークで、ときに笑いをまじえつつ監督や選手から巧みに笑顔と小ネタを引き出していました。
続いての質疑応答では、選手の練習形態や本拠地などに関する質問一つひとつに対して、西室社長、髙橋監督、原口常務(陸上部部長)がていねいに答える姿が印象的でした。
その後、フォトセッション、監督の囲み取材が行われ、1時間あまりに及んだ創部発表会がつつがなく終了。
陸上部の正式スタートは来年4月。選手内定者は今のところ来春新卒者5名ですが、当然、今後も採用活動は継続。あっと驚くサプライズ入部があるかもしれません。
ともあれ、ナゴヤエリアにたいへん縁の深い髙橋監督、そしてメンバーに愛知県出身・在学者が3人もいるチーム。練習拠点は東京ながら、地元のチームと同じように今後も長い目で応援していこうと思います。
会見で西室社長もおっしゃっていましたが、わずか数年で結果を求めるのは酷な話。全日本実業団女子駅伝での活躍を見たいところですが、選手が成長するのを気長に眺めながら応援するのもまた、エリート陸上の楽しみ方なのではないでしょうか。