わずか1日で完売となった“みんな大好き”いびがわマラソン。その人気ぶりに乗じた、けしからん行為が発覚しました。
読者の情報によると、いびがわマラソンの出場権がYahoo!オークションで出品されているもよう。(現在は削除されているかもしれません) 東京マラソンではかつてヤフオクに出走権が続々と出品されて問題になり、運営サイドはゼッケン受け取り時に加え、当日の会場入場時にもIDチェックする事態となりました。
「いびがわマラソン」は参加者の利便性のため、ゼッケンと計測チップを事前郵送にしています。今回のヤフオク出品は、その善意の隙を突いた悪質な所業といえるでしょう。 では、なぜ替え玉出走がダメなのでしょうか。
「せっかく余ってるんだから誰かに走ってもらった方がいいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、マラソン大会はコンサートや一般のイベントとは一線を画す、「体調の急変や落命リスクがあるスポーツ競技会」です。
実際、年間で何人かはお亡くなりになりますし、レース中に救急車で運ばれる方は、いったい何人にのぼるのか想像もつきません。 代走が絶対にダメな理由はそこにあります。つまり、体調が急変して倒れたとき、まったく別人として処理されてしまいます。
もしも緊急に輸血が必要な場合、自身のそれとは異なる型の血液を入れられるかもしれない。保険だって適用にならないでしょう。 それでも主催者は救護活動をしなければならないわけで、後々の事務処理や対応に追われるなど多大な迷惑を被ることにもなります。
これで遺族に訴訟でも起こされた日にはふんだりけったり。 それに、仮に死んでしまった場合、どこの誰だかわからないまま無縁仏として埋葬される・・・そんなホラーな事態になりかねません。
というか、実際にマラソン大会では年間にして何人も亡くなっていますからあながち冗談ともいえません。 それ以前に、どこの誰だかわからない浅ましい人間の替え玉としてフルマラソンを走り、いったい何が残るというのでしょうか。
沿道からの声援も、フィニッシュラインを越えたときの感動も、すべてどこかの誰かに向けられたもの。知らない人の名前が入った記録証を見たとき、きっと自己嫌悪と虚しさにさいなまれるはずです。
今回ヤフオクにいびがわマラソン出走権を出した人は、きっと通常のイベントとマラソン大会を同一視して、軽い気持ちで出品したのだと思います。 「代理出走=犯罪」とはいいませんが、大会規約違反なのは確実です。
賢明な読者の皆さんは代理出走を持ちかけられても「無縁仏になりたくない」とキッパリ断りましょう。