愛・地球博が閉幕してから、あと2ヵ月で1周年を迎える。
そこで、万博の思い出を写真とともに振り返りたい。
まずは「シンガポール館」。
ここは私が初めて“万博らしさ”を感じたパビリオンだ。
開幕当初、入場者数は4万人~5万人台で推移しており、
「日本館」や「大地の塔」をはじめ、
企業館ですらスタッフが呼び込みを行っていたほど
“見たい放題”の状態だった。
外国館にいたっては閑散とした雰囲気すら漂っていた。
私の初万博は開幕二日目の土曜日。
雪が降るほど寒かったのを憶えている。
まずは実際に渡航経験がある国のパビリオンを見ようと、
東南アジアの国々が集うエリアへ。
独特の香料の匂いがあたり一面に満ちている。
小旅行気分は味わえたが、どこも「展示」が中心で今ひとつという印象。
最後に入ったのがシンガポール館だった。
「ここもかわり映えしないかな」と思いかけたその時、
突然、華やかな音楽とともに色とりどりの衣裳を身につけた
ダンサーたちが現れ、階段状のステージで踊り始めた。
見ている人は私を含めて10人ぐらい。
それでも一所懸命、しかも心から楽しそうに踊る姿は爽やかだった。
このとき、「これが万国博覧会か」と思ったものだ。
やはり国の個性やパワーは、
モノの展示や映像だけでは伝わらないと感じた。
その後、愛知万博の入場者数は急上昇。
春も終わる頃からシンガポール館のショーは大人気となり、
とても開幕当初のように、気軽に見ることはできなくなった。