マラソン大会のスタート位置といえば、事前申告したタイムでゼッケンナンバーが割り振られ、ブロック分けされるというパターンが定番です。通常は各ブロックをロープやフェンスなどで物理的に隔離し、入口に係員が立って異なるエリアの選手が侵入しないよう目を光らせています。しかしかながら、せっかくブロック分けしているにも関わらず、スタートが無法地帯と化す大会も少なくありません。
管理が甘いと、とくにスタート直前に「間」を詰める際、後ろの方の選手が我れ先にと前方へなだれ込み収拾がつかないほどぐちゃぐちゃになってしまいます。
こうした選手の苦情を受けて見事に改善したケースも。それは兵庫県で行われている某フルマラソン。かつてはスタートがほぼ無法状態だったそうですが、フェンスで囲んだり入口を設けてナンバーをチェックするなどの対策を講じ、整然としたスタートを図ることができました。
10kmレースでは最初からペースが早いので、ある意味フルマラソンより危険だと思われますが、選手のスタート位置を事前にブロック指定する大会は皆無です。
ではどうのように整列するかというと、「40分以内」とか「45分〜50分」とか予想フィニッシュタイムが書いてあるプラカードを見て各自好きな場所へ並びます。
完全に選手任せ。これでは前方に人が殺到して大変なことに!・・・なりそうですが、不思議と混乱しないんです。この場合、人を押しのけて前へ前へ割り込む選手を見かけることはほとんどありません。
それどころか、前方のブロックがスカスカ状態になるケースも。スタッフが「遠慮せず前に来てくださ〜い!」なんて声をかけるものの、みんな「どうぞどうぞ〜」の上島竜兵状態に。
事前にスタートブロックを指定されるとズルしてまで前に行きたくなる。逆に、自由にスタート位置が選べる場合は実力に見合った位置に落ち着く・・・これはいったいどのような心理作用なのでしょうか。