医師や家族に進められランニングを始めても、大半の人は継続できずに止めてしまいます。私の周りでもこれまで、そのような人をたくさん見てきました。続かない理由をたずねてみると、もっとも多い答えが「キツい」とか「苦しい」というもの。
これは単純に「オーバーペースで走っている」だけのこと。私もランニングを始めた当初は、「苦しい思いをせずに速くなれるはずがない!」と勝手に決めつけていました。この考えにとらわれるのは、学生時代に何かしらの競技に打ち込んでいた人が多いような気がします。
何時間も炎天下のグラウンドを駆け回り、部活中に水を飲む行為が最大の「悪」とされていた時代に青春の日々を過ごした私たちおじさん世代は、ことスポーツに関して「ラクして強くなる」なんてことは想像すらできないのです。
スポーツとは苦しいものであり、自分を追い込むことであり、精神論であり、上下関係であり、汗とカビのにおいである。そんな昭和の感覚が心の奥底に刻まれているから、いい歳になっても「スポーツ」というと手が抜けないのです。
こういう種類の人たちは、十数年ぶりに体を動かそうとジョギングを始めても、あの頃の体育会ダマシイがムクムクとよみがえってきて知らず知らずのうち「マジ走り」になってしまいます。
恐い先輩が目を光らせているわけでもないのに、ゆっくりたらたら走っている自分が許せない。ハッと気づくとゼイゼイ荒い息をたてながら鬼の形相で走っていたり。
最初からそんな調子だから「ジョギング=苦しい、ツライ」となり、メタボからの脱出は夢物語と化すのです。
ダイエットに限っていえば、速く走るよりもむしろゆっくり長く走った方が効果的であることはランナーのみなさんなら周知の事実。
ダイエットのためにこれからランニングを始めるという方は、まずは意識の奥に刻まれている「体育会魂」を捨て去って、ゆっくりちんたら走ることをお勧めします。
やがて走ることが楽しくなってきてタイムを追い求めるようになったら、そのとき初めて体育会魂を取り戻せばいいのです。