
愛知県内における昨年(令和6年)の山岳遭難状況が愛知県警より発表されました。資料によると、遭難者数(救助要請があった事案)は38名。そのうち1名が死亡、17名が重軽傷を負っています(20名は無傷で生還、行方不明者は0)。
この結果を見て、「えっ、愛知の山で亡くなった方がいるの?」と驚いた人は少なくないでしょう。
じつは遭難による死者は毎年発生しており、令和5年は4名、4年は3名、3年は5名もの犠牲者が出ています。
愛知県の山といえば、およそ300〜800m程度のいわゆる「低山」がほとんど。最高峰の茶臼山でも1,416m。このため、これほどまでに遭難が発生しているとは想像しにくいのではないでしょうか。
遭難理由の内訳を見てみると、「道迷い」が全体の3割でトップ。「転落・滑落」「転倒」「疲労・病気」と続きます。3位の「疲労・病気」は夏場の熱中症によるものがほとんど。
愛知県警では「令和6年における山岳遭難は、11月に最も多く発生しており、地理不案内による道迷いの山岳遭難が増加しました。山岳遭難は、ほぼ毎月発生していることから、登山の時期に関わらず、事前の登山計画をしっかりと立て、登山をするようにしてください」と呼びかけています。
トレラン中に転倒した経験をお持ちの方は多いと思いますが、いま生きているのは“たまたま運が良かった”だけということを肝に銘じる必要がありそうです。
以前、標高わずか275mの尾張富士(犬山)でも重傷者が出ています。人気の猿投山でも、転倒して動けなくなったトレイルランナーからの救助要請がありました。
このように「低山だから安全」である保証はどこにもありません。トレラン時はどうしても軽装になりがちですが、だからこそ必要十分な装備は、衝突など他人にも被害を及ぼすリスクが高いトレイルランを行う人の義務ではないでしょうか。