2006年に登場した「Nike+iPod」、最近では「エクサミュージック」などの例を出すまでもなく、「音楽を聴きながらランニング」することがすっかりポピュラーになりました。かくいう私もナイキプラスの登場以来、つねに音楽を聴きながら走っています。しかしそれはふだんの練習でのお話であり、レース中に音楽を聴くことは一切ありません。その理由とは?
いま、街でみかける多くのランナーの耳にはイヤホンが収まっています。リズムに乗りながら走るのは気持ちよく、とくに長時間走りっぱなしのLSDのときには、モチベーションを保つ意味でも音楽のチカラは絶大です。
そんな私がレースのときだけ音楽を聴かない理由。それはただ一つ、「沿道の声援が聞こえないから」です。
じつは、私も初めのうちはレース中に音楽を聴いていました。ところがある大会の日、レース会場にiPodを忘れてしまったのです。 初めて音楽のチカラなしでレースに参加することになり、スタート前は心細い思いをしたものです。
ところがいざ始まってみると、沿道の声援のなんと力強いことか。しかもそれが、疲労しきった体を後押ししてくれる大きなチカラとなったのです。
レースに参加したことがある方はお分かりでしょうが、地元の方々が見ず知らずの人間を、声をはらして応援してくれる姿に感動をおぼえた経験がきっとあるはずです。
つまり、レース中に音楽を聴く行為は、「沿道からの声援」という“パワーアイテム”を自ら放棄してしまうことに他なりません。
それ以前に声をかけてくれる沿道の方々にたいへん失礼ですし、最近はマナー違反とさえ思えるようになりました。 練習では音楽を活用して楽しくラン。レースでは音楽を聴かずに声援をチカラにする。そんなけじめを持つことも大切なのではないかと、レース会場に蔓延するイヤホンランナーを見て感じた次第です。