東京マラソン2009をTV観戦しました。中継が始まるのを楽しみに待っていたはずなのに、いざ号砲が鳴ってスタートを見ていたとき感じたのは、「なぜ自分はあの場所にいないんだろう」という虚しさと寂しさでした。
満面の笑顔でスタートラインを通過していく選手たち。それは昨年の私そのものです。画面を凝視しているとまるで自分が走っているような感覚に引き込まれました。「よほど走りたかったんだろうな」と、自分のことながら哀れに思ったぐらいです。
それはさておき。今大会の注目の一つは、引退レース(?)となる3人のトップアスリートの走り。3人とはいうまでもなく日本最高記録保持者の高岡寿成、北京五輪では残念な結果となった土佐礼子、そして資生堂のベテラン弘山晴美です。
高岡選手はご存じのとおり途中棄権となってしまいました。「歩いてでもいいから完走してほしい」というのがファンの本音かもしれません。しかし、あの棄権した地点にたどりつくまでに肉体的・精神的限界を1度や2度ではなく、何度も超えているはずです。本人も納得している・・・のか分かりませんが、ひとまず「お疲れ様でした」というところでしょうか。
土佐選手は転倒によりひざから流血したにもかかわらず、堂々の3位に食い込みました。その痛々しい姿を見て、第1回大会の有森裕子さん(転倒してひざから流血)を思い出しました。弘山選手はギリギリ表彰対象の10位。ちょっと不完全燃焼かもしれません。
有名人もたくさん走りました。「サブフォー宣言」の安田美沙子は4:28:51と目標達成ならず。次回、リベンジを果たしてほしいと思います。K1の魔裟斗はマラソンを走るにはハンディキャップとなるマッチョ体型にもかかわらず、3:51:14とまずまずのタイム。速筋だけでなく、遅筋もほどよく混ざっているのではないでしょうか。見た感じも“ゴリマッチョ”と“細マッチョ”の中間みたいですし。
猫ひろしは昨年よりも大幅に記録を更新しました。3:18:52というタイムは、市民ランナーの中でもかなり上位に位置するタイムだと思います。「しっかり練習してたんだなあ」と感心させられたのが玉袋筋太郎。03:59:32と堂々のサブフォーは立派です。
61歳の鈴木宗男氏はなにげに3:49:02。普段から日常的に走り込んでいる様子がうかがえます。 松村邦洋は残念でした。一時期100kg台まで体重が落ちたのに、レース当日は128kgまで増えていたそうです。今日の昼過ぎ、倒れた原因は「急性心筋梗塞」と発表されましたが、具体的な病状や後遺症などについてはまだわからないようです。
マラソン大会でAEDが活躍するような事故はけっこう頻繁に起きています。私の経験だけでも、コースに倒れて処置を受けている人を見たのは2度や3度ではありません。参加した大会で、実際に死亡者が出てしまったこともあります(現場は見ていませんが)。
マラソン(その他のロードレース含む)は死亡に至る危険が極めて高いスポーツです。それは何も肥満の人だけではなく、すべての人に死亡リスクがつきまといます。
一昨年のNYシティマラソン前日に行われた五輪選考会で、ライアン・シェイ選手が突然死したのは衝撃的でした。 なんだか年々、仮装パレードのような方向へ向かってしまっている東京マラソン。
昨年、沿道に住んでいらっしゃる方のブログに「スポーツだから応援する気になるし、交通規制の不便も我慢できる。しかしこんなバカ騒ぎ(仮装行列)には協力したくない」という趣旨の言葉を見つけてグサッときました。
もっともな意見です。 マスコミは仮装ランナーばかり取り上げず、マラソンのリスク面やスポーツとしての魅力をもっと真摯に発信してほしいと思います。 (本文中、敬称略)